本記事では、Cabling Cert Techのパートナーであるフルーク・ネットワークス(Fluke Networks)が公開したCabling Chroniclesの記事「Third-Party Network Cable Certification: What You Need to Know」を、フルーク・ネットワークスの了解のもと日本語に翻訳して紹介します。
原文:Third-Party Network Cable Certification: What You Need to Know
公開日:2024年9月18日
原文URL:Fluke Networks 原文記事
原文では、ケーブルや接続ハードウェアに対する「第三者認証」「Listed」「Verified」といった用語の意味と、施工後の情報配線システムに対して実施する認証試験(Certification Testing)との違いについて解説しています。
本記事の前半では原文を日本語に翻訳して紹介し、後半ではCabling Cert Tech独自の技術解説として、製品に対する第三者評価と施工後の配線認証試験の違いを整理するとともに、日本国内における関連する評価制度や実務上のポイントについて解説します。
Fluke Networks 原文記事|日本語翻訳
信頼できるメーカーは、ケーブル、パッチコード、接続ハードウェアについて、「第三者認証済み」「検証済み」「Listed(リステッド)」などと表示し、そのことをアピールしています。
これは、メーカーとは別に独立した第三者によって、その製品が業界規格に適合していることが確認されていることを意味します。
では、これらの認証は具体的に何を意味するのでしょうか。また、施工された情報配線システムに対して行われるケーブル認証試験とは、どのように異なるのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
ケーブル認証とは?
辞書では、「certify(認証する)」とは、何かが一定の資格を有していること、または一定の基準を満たしていることを正式に認めること、と定義されています。
認証試験(Certification Testing)は、まさにそれを行うものです。ANSI/TIA-568またはISO/IEC 11801の情報配線規格で規定されている性能パラメーターに基づき、配線が特定のカテゴリーまたはクラスの要求事項に適合しているかどうかを判定します。
しかし、「ケーブル認証(Cable Certification)」という言葉は、人によって異なる意味で使われることがあります。
・メーカーは、自社のケーブルが業界規格に適合する認証を受けていることをアピールする場合があります。IntertekのETL認証などの第三者認証は、そのケーブルが業界のコンポーネント規格に適合する認証を受けていることを示します。
・ケーブル認証は、施工されたリンクが業界規格に適合しているかどうかを判定する認証試験を指す場合もあります。たとえば、施工されたカテゴリー6Aリンクが、TIA-568で規定されている長さ、挿入損失、反射減衰量、近端漏話(NEXT)、パワーサムNEXT、等レベル遠端漏話(ELFEXT)、減衰対漏話比(ACR)などのパラメーターに適合しているかを判定します。
メーカーがいう「認証済みケーブル」と認証試験との違いは、認証試験が情報配線システムの施工後に実施されることです。
認証試験は、システム保証を取得するために必要であり、配線が正しく施工されたことを確認するうえでも重要です。
また、認証試験ではすべてのリンクについて試験結果が記録されます。この記録は、その後のトラブルシューティングに役立つだけでなく、施工時点で配線が認証試験に合格していたことを示すことにより、施工業者が自社のビジネスを守るうえでも役立ちます。
第三者認証とは?
コンポーネントは、第一者認証(First-Party Certified)とされる場合があります。これは、メーカーがその製品について自ら定めた基準を満たしていると、メーカー自身が自己宣言することを意味します。
(それは信頼できるのでしょうか?)
製品は、第二者認証(Second-Party Certified)とされる場合もあります。これは一般に、ある企業(たとえばユーザーや施工業者)が独自の認証プログラムを設け、その製品が、そのプログラムで定められた基準を満たしていることを示します。
(それでも、少し怪しい感じがしますね。)
これに対して、第三者認証(Third-Party Certification)は、独立した認定第三者認証機関によって、製品が業界で定められた特定の安全性、品質、または性能に関する規格に適合していることが認証されていることを示します。
製品が第三者認証を受ける場合、認証機関は、認められた業界規格または規制に基づき、認定された試験所で製品を無作為に抜き取り、試験を実施します。
第三者試験は、メーカーにとって時間と費用のかかるプロセスです。そのため、新製品を市場投入する際には、あらかじめ必要なコストと期間として、予算とスケジュールに組み込まれています。
また、メーカーは製品の認証を維持するために年間費用を支払い、継続的な適合性を確認するための定期的な検査も受けることになります。
第三者認証のメリットとは?
コストを抑えるため、メーカーは認証要件を考慮して製品を設計します。
第三者認証機関の中には、設計プロセスの段階で事前試験に関するコンサルティングを提供しているところもあります。メーカーは、最終製品が本番の認証試験に一度で合格できるようにするため、こうしたサービスに費用を支払うことがあります。
また、第三者認証では、製品に何らかの変更を加えた場合、その変更内容を再試験および再認証のために提出する必要があります。つまり、さらに時間と費用がかかることになります。
これほどの時間と費用がかかるにもかかわらず、なぜメーカーは第三者認証を受けるのでしょうか。
第三者認証を受けるその他の理由としては、消費者の信頼を高めること、市場で製品が速やかに受け入れられるようにすること、そして、安全かつ有効な製品を提供するためにメーカーが適切な手順を踏んでいることを示すことが挙げられます。
第一に、そして最も重要な理由は、特定の地域で製品を販売または設置するために、法律や規定によって第三者認証が求められる場合が多いことです。その場合、メーカーに選択の余地はありません。
第三者認証の種類
私たちの業界では、ケーブル・コンポーネントは、安全性と性能について第三者認証を受けています。
安全性については、製品は通常「Listed(リステッド)」とされ、一般にAHJ(Authorities Having Jurisdiction:管轄当局)によって適用・執行される要件となっています。
これに対して、「Verified(検証済み)」は、電気的な伝送性能を示します。

北米における安全性のListing
北米では、Underwriters Laboratories(UL Solutions)のListingにより、配線コンポーネントがNational Electrical Code(NEC:米国電気工事規程)に基づく安全要件(煙や燃焼特性など)を満たしていることが確認されます。
これらのListingによって、ケーブルがライザー(CMR)またはプレナム(CMP)としての定格を満たしているかどうかが判定されます。空調用の空気が流れるプレナム(空気搬送)空間に敷設されるケーブルには、火炎の延焼や有毒な煙の放出を抑えることが求められます。
同様に、CSA Group(旧Canadian Standards Association)のListingは、製品がCanadian Electrical Code(CEC:カナダ電気工事規程)の要件を満たしていることを示します。
CEとULのListingは実質的に相互に置き換え可能であり、「CSA-US」または「c-UL」のListingは、その製品が米国とカナダ双方の規格を満たしていることを示します。
各国・地域の安全性表示
欧州連合(EU)では、製品が健康、安全、環境に関するすべての要求事項を満たしていることを示すために、CE表示(CEマーク)が要求されています。
世界のその他の地域でもUL、CSA、CEが認知されていますが、国によっては独自の安全性に関する表示制度があります。原文では、その例として日本のPSEマークとインドネシアのSNIマークが挙げられています。
ETL認証
私たちの業界でもう一つ一般的なケーブル認証が、IntertekのETL認証です。
IntertekはULと同様に、NRTL(Nationally Recognized Testing Laboratory:米国国家認定試験機関)として認められています。
製品が最低限の安全基準を満たしていることを示すために「Listing」を行う場合、IntertekはUL規格に基づいて試験を実施します。両者のListingにおける実質的な違いは、試験を実施する試験機関です。
製品は、品質および性能についてETLの「Verified(検証済み)」を受けることもできます。これは、製品が適切なANSI/TIA、ISO/IEC、EN、またはIEEEの性能規格を満たしていることを確認するため、第三者による試験を受けていることを示します。
Listingとは異なり、Verificationは必須ではありません。これは、電気的な伝送性能が人の安全に直接影響するものではないためです。
Verificationによって、施工する製品が顧客のネットワーク・アプリケーションをサポートするために必要な性能を発揮するという確信を得ることができます。
フルーク・ネットワークスはケーブルを認証しているのか?
GoogleやAmazonで検索すると、「Fluke Certified(フルーク認証済み)」と表示されたケーブルやパッチコードが数多く見つかります。
しかし、ここは明確にしておきましょう。フルーク・ネットワークスは、配線コンポーネントの認証も推奨も行っていません。
フルーク・ネットワークスは、施工された情報配線システムがTIA、ISO/IEC、IEEE規格に適合しているかを認証するための認証試験機を製造しています。
また、第三者認証機関やメーカーが自社の試験所で使用するための試験機器も提供しています。
しかし、メーカーであるフルーク・ネットワークスが、他のメーカーのコンポーネントを認証することは決してありません。
一方、フルーク・ネットワークスのテスター自体は第三者認証を受けており、安全性についてListed、性能についてVerifiedを取得しています。
実際、フルーク・ネットワークスは、IEC Level Vの確度、およびANSI/TIA-1152-AのLevel IIIeと2GについてETL Verificationを取得した最初の試験機器メーカーです。
これは、フルーク・ネットワークスのテスターを使用することで、情報配線システムを信頼性高く認証できることを意味します。
フルーク・ネットワークスは配線コンポーネントを認証していないため、自社製品を「Fluke Certified」と表示しているベンダーは、おそらくフルーク・ネットワークスのテスターを使用して自社製品を試験したという意味で、この表現を使用しているにすぎません。
フルーク・ネットワークスの機器を使用して製品を試験していること自体はありがたいことですが、このような主張は虚偽広告(false advertising)にあたります。
フルーク・ネットワークスでは、このような表現を発見した場合、その表現を変更するよう働きかけています。
認証試験レポートの価値
「Fluke Certified」と誤って表示しているベンダーについてよく知らない場合や、単にフルーク・ネットワークスのテスターを使用してコンポーネントを試験したと説明している場合には、その主張を確認するために、実際のFluke試験レポートを入手して確認することをお勧めします。
その際には、PDFレポートではなく、LinkWare™のネイティブFLWファイルを入手してください。FLWファイルはセキュリティのために暗号化されており、編集や改ざんができません。
たとえば、フルーク・ネットワークスのDSX CableAnalyzer™シリーズ メタル配線認証ツールは、すべてのリンク・ペアについて、各パラメーターのすべての数値を記録し、測定結果をトレースとしてグラフィカルに表示します。
LinkWareの試験レポートには、選択されたテスト・リミットと、試験に使用されたフルーク・ネットワークスのテスターも表示されます。さらに、そのテスターの最終校正日とソフトウェア・バージョンも確認できます。
ベンダーからLinkWare試験レポートを提供された場合には、レポートの読み方を理解し、どのような試験が実施されたのかを把握したうえで、ベンダーの主張と照らし合わせて結果を慎重に確認する必要があります。
ベンダーから「PASS」と表示された試験レポートを提示されたからといって、そのケーブルが必ずしも業界規格に適合しているとは限りません。また、施工後も規格に適合するとは限りません。
さらに、提供されたレポートが、実際に購入したケーブルについてのものであるかどうかについては、ベンダーを信頼する必要があります。
たとえば、ベンダーが1,000フィート(約305 m)のケーブル・リールに対して、単純な片端試験(single-ended test limit)を実施しただけかもしれません。
この試験では、近端漏話(NEXT)と反射減衰量(Return Loss)は確認できますが、挿入損失(Insertion Loss)や遠端漏話(Far-End Crosstalk)を判定することはできません。
だからこそ、施工後にすべてのリンクを認証試験することが極めて重要です。 また、ベンダー保証を取得するための唯一の方法でもあります。
ケーブル認証試験用ツール
メーカー保証を取得するための認証試験や、施工された情報配線システムが規格に適合していることを確認するための試験は、認証用ケーブル・テスターでのみ実施できます。
フルーク・ネットワークスでは、メタル配線の認証試験用としてDSX CableAnalyzer™シリーズを提供しています。
また、光ファイバーの認証試験用として、Tier 1光ファイバー認証用のCertiFiber® Pro 光損失測定試験セットやCertiFiber™ Max 光損失試験セット、Tier 2光ファイバー認証用のOptiFiber® Pro OTDRなどの光ファイバー認証試験機を提供しています。
認証試験機のほかに、基本的な導通機能を実行する検査(Verification Testing)用のテスターや、配線が特定のテクノロジーやアプリケーション(PoE、10GBASE-Tなど)をサポートできるかどうかを判定する検証(Qualification Testing)用のテスターもあります。
これらのツールは主に既設の情報配線システムで使用され、配線システムの変更を確認したり、新しいデバイスに必要な性能を確保したり、ネットワークの問題をトラブルシューティングしたりするために使用されます。
フルーク・ネットワークスのLinkIQ™は、施工された情報配線システムの検査と検証を行うことができる、使いやすいネットワーク・テスターです。
検証、検査、認証の各試験では、一部の機能が重複しています。しかし、検査(Verification)、検証(Qualification)、認証(Certification)の違いと、それぞれの試験をいつ実施すべきかを理解することで、目的に適したツールを選択できるようになります。
Fluke Networks記事 日本語翻訳はここまで
以上が、Fluke NetworksのCabling Chronicles記事「Third-Party Network Cable Certification: What You Need to Know」の日本語翻訳です。
ここからは、Cabling Cert Tech独自の技術解説として、この記事で取り上げられた「第三者認証」と「施工後の配線認証試験」の違いを整理し、日本国内の情報配線に関係する認証・評価制度も含めて解説します。
Cabling Cert Tech|技術解説
「製品の第三者認証」と「施工後の配線認証試験」は別のもの
この記事を理解するうえで最も重要なのは、ケーブルや接続ハードウェアなどの製品に対する第三者認証と、施工された情報配線システムに対する認証試験(Certification Testing)は別のものだという点です。
製品に対する第三者認証では、独立した第三者機関が製品を試験し、安全性や伝送性能などについて、所定の規格・基準への適合性を評価します。
一方、施工後の配線認証試験では、実際に施工されたパーマネント・リンクやチャネルを対象として、ANSI/TIAやISO/IECなどで規定された配線性能を満たしているかをフィールド・テスターで確認します。
つまり、第三者認証を受けたケーブルを使用したからといって、施工後のリンクが自動的に規格適合になるわけではありません。
ケーブル、コネクタ、パッチパネルなどの製品性能に加えて、施工品質、リンク長、成端状態などが最終的な配線性能に影響するためです。
第三者認証で確認するもの、施工後の認証試験で確認するもの
製品の第三者認証と施工後の配線認証試験は、いずれも規格・基準への適合性を確認するものですが、評価する対象と実施するタイミングが異なります。
| 比較項目 | 製品の第三者認証 | 施工後の配線認証試験 |
|---|---|---|
| 主な対象 | ケーブル、コネクタ、接続ハードウェアなどの製品 | 施工されたパーマネント・リンクやチャネル |
| 実施時期 | 製品の認証取得時、および認証維持のための継続的な確認 | 情報配線システムの施工後 |
| 評価するもの | 製品の安全性、品質、伝送性能など | 施工された配線全体の伝送性能 |
| 主な規格・基準 | 安全規格、ANSI/TIA、ISO/IEC、EN、IEEEなど | ANSI/TIA、ISO/IECなどの情報配線規格 |
| 評価・試験の主体 | 独立した第三者認証・試験機関 | 施工業者、試験担当者などが認証試験機を使用して実施 |
| 確認方法の例 | 第三者機関による製品試験、抜き取り試験、定期的な適合性確認など | 認証用ケーブル・テスターによる各リンクの測定 |
| 結果の例 | Listed、Verifiedなど | PASS/FAIL、および各測定パラメーターの試験結果 |
| 重要なポイント | 製品そのものが所定の規格・基準に適合していることを確認 | 実際に施工された配線が所定の性能要件を満たしていることを確認 |
つまり、製品の第三者認証は「使用する部材」に対する評価であり、施工後の認証試験は「完成した情報配線システム」に対する評価と整理すると分かりやすいでしょう。
第三者認証を受けたケーブルや接続ハードウェアを使用することは、適切な製品を選択するうえで重要です。しかし、それだけで施工後の配線性能まで保証されるわけではありません。
反対に、施工後の認証試験は、使用された個々の製品について第三者認証を与えるものではありません。
「製品を評価する第三者認証」と「施工された配線を評価する認証試験」は、それぞれ異なる役割を担っているという点を理解しておくことが重要です。
日本国内におけるLANケーブルの第三者機関による性能評価
日本国内でも、LANケーブルについて、メーカー自身による性能表示だけでなく、メーカーとは独立した第三者機関による試験・性能評価が行われています。
その一例が、JECTEC(一般社団法人 電線総合技術センター)で実施されている「Cat.6A LANケーブル性能評価試験」です。
Cabling Cert Techの特別サポーターでもあるJECTECは、電線・ケーブルに関する試験・検査・認証などを行う機関であり、各種の評価業務を実施しています。
Cat.6A LANケーブル性能評価試験が始まった背景
インターネットトラフィックの増大やWi-Fiの高速化に伴い、10Gbps伝送に対応するCat.6A LANケーブルの市場が拡大し、多数の製品が流通するようになりました。
こうした市場環境を背景として、Cat.6A LANケーブルの規格への適合性を評価し、ユーザーが安心して製品を選択できるようにする取り組みがJEITAで検討されました。この取り組みはJEITAのカンファレンスでも紹介され、その後、JECTECによる「Cat.6A LANケーブル性能評価試験」として実施されています。
Cat.6A LANケーブルについては、JEITAとの取り組みにより、JIS X 5150-1:2021への適合性を評価する性能評価試験が実施され、測定結果が規格を満足し「適合」と判定された製品の情報がJECTECのWebサイトで公開されています。
この性能評価では、Cat.6Aで重要となるエイリアン・クロストークに関係するPSANEXTやPSAACRF、さらにパッチコードについては反射減衰量(RL)や近端漏話(NEXT)が評価対象となっています。
「第三者認証」と「性能評価試験」は同じとは限らない
ここで注意したいのが、第三者機関が試験を実施していることと、その制度自体が「第三者認証制度」であることは必ずしも同じではないという点です。
JECTECは第三者機関ですが、Cat.6AについてJECTECが使用している正式名称は、「Cat.6A LANケーブル性能評価試験」です。
JECTECでは、このCat.6A LANケーブル性能評価試験を「第三者認証」とは説明していません。
また、JECTECでは、この性能評価試験の評価結果について、依頼者から提供されたサンプルに対するものであり、同一型式品の規格への適合性を保証するものではない旨を明記しています。
そのため、本記事ではこの試験について、「第三者機関による性能評価試験」と表現し、「第三者認証」とは区別して扱います。
【補足】日本のPSEマークはUL Listingとは仕組みが異なる
日本のPSEマークは、電気用品安全法に基づく法定の適合表示であり、ULやCSAのListing認証と同一の仕組みではありません。PSE制度では、届出事業者による技術基準への適合確保と自主検査が基本となり、特定電気用品については、これに加えて登録検査機関による適合性検査が必要です。そのため、PSEマークをULやCSAのListingと同じ「safety listing」の例として説明するのは正確ではありません。
JECTEC Cat.6A LANケーブル性能評価試験で「適合」と判定された製品
JECTEC(一般社団法人 電線総合技術センター)では、「Cat.6A LANケーブル性能評価試験」を実施し、測定結果が規格を満足した場合に「適合」と判定し、その製品情報を公式Webサイトで公開しています。
ここで重要なのは、すべての製品が同じ内容の試験を受けているわけではなく、評価対象となる試験項目ごとに、「適合」と判定された製品が公開されていることです。
2026年8月25日時点で、JECTECのWebサイトでは、次のような製品が掲載されています。以下の製品は、JECTEC「適合品一覧」の掲載順に記載しており、掲載順は製品の性能や推奨順位を示すものではありません。
■ エイリアンクロストーク
- 株式会社e431:MLN-HUUC6A/ (65m)、MLN-24UU6A/ (85m)
- 岡野電線株式会社:OKTP-6A-AWG23×4P-AX (90m)
- 関西通信電線株式会社:UTP-C6A-(S) (80m)、EM-UTP-C6A-(S) (80m)
- 通信興業株式会社:TSUNET-EX 10GE-SD AWG26-4P (60m)、TSUNET-10GE AWG23-4P (90m)
- 日本製線株式会社:24AWG-4P NSGDT6-10G-WARP (90m)、26AWG-4P SD10G-WARP (65m)
- パンドウイットコーポレーション:PUL6AHD04BU-EG (90m)
- 冨士電線株式会社:TPCC 6A 23AWG×4P (90m)、TPCC 6A(SD) 26AWG×4P (60m)
■ パッチコード
- 株式会社e431:超極細タイプCat.6Aパッチコード/PLN-34UU6A/ (3m)
- 岡野電線株式会社:OKTP-6A-AX/アオ/PP/568B/2M (2m)、SS-OKTP-6A-P-AX/アオ/PP/568B/2M (2m)
- 通信興業株式会社:TSUNET-EX MC10GE-SD-MP 8C LB 8-8 2m (2m)、TSUNET-EX MC10GE-LASB-SD-MP 8C LB 8-8 2m (2m)、TSUNET-EX ECO-S-CordV3-MP 8C LB 8-8 2m (2m)、TSUNET-MC10GE-MP 8C LB 8-8 2m (2m)
- 日本製線株式会社:SD10G-WARP-MP4N 3m (3m)、SPG6-10G-WARP-MP4N 3m (3m)
- パンドウイットコーポレーション:UTP6AX3MBU (3m)、UTP28X3MBU (3m)
- 冨士電線株式会社:TPCC 6A PATCH(SD) 26AWG×4P 2m (2m)、slim-patch6A 28AWG×4P 2m (2m)、TPCC 6A PATCH 24AWG×4P 2m (2m)
※カッコ内数字は試験長
製品型番、導体サイズ、試験長、試験日などの詳細、および最新の掲載製品については、JECTEC公式Webサイトをご確認ください。
チャネル構成を対象とした評価も検討
2026年3月に開催された「JEITA 情報配線システム国際標準化カンファレンス 2026」では、従来のケーブルやパッチコードの性能評価に加え、チャネル構成を対象としたエイリアンクロストーク評価についても検討が進められていることが紹介されました。
これは、ケーブル単体だけでなく、実際の情報配線システムに近い構成で性能を評価しようとする取り組みです。
なお、カンファレンスで紹介された内容は検討段階のものであり、現時点で正式な評価制度として運用されていることを意味するものではありません。
Cabling Cert Techでは、今後の制度化やJECTECからの正式な発表についても確認していきます。
Fluke Networks原文との関係
製品に対する第三者認証と、第三者機関による性能評価試験との違いは、今回紹介したFluke Networksの記事を日本国内の制度に当てはめて考える際にも重要です。
原文で説明されている第三者認証では、製品の試験だけでなく、認証の維持に必要な年間費用、定期的な検査、製品変更時の再試験・再認証などについても説明されています。
一方、日本国内で実施されている第三者機関による性能評価にも、それぞれの目的や評価対象、適用規格、運用方法があります。そのため、原文で説明されている「Third-Party Certification」と単純に同一視するのではなく、それぞれの制度の内容を理解したうえで捉えることが重要です。
「誰が試験したのか」だけでなく、「何を、どの規格に対して、どのような制度で評価し、その適合性がどのように維持・確認されているのか」まで確認することが重要です。
LANケーブルの第三者評価では何を確認すべきか
LANケーブルに「第三者機関で試験済み」「規格適合」「認証済み」などと表示されていても、その表現だけで製品の適合性を判断するのではなく、評価の内容を確認することが重要です。
まず確認したいのは、どの機関が評価したのかです。
メーカー自身による試験なのか、メーカーとは独立した試験・認証機関による評価なのかによって、その意味は異なります。第三者機関の名称が表示されている場合には、その機関がどのような立場で試験や認証を行っているのかも確認するとよいでしょう。
次に重要なのが、何の規格・基準に対して評価されたのかです。
単に「Cat.6A対応」「規格適合」と表示されているだけでは、どの規格の、どの要求事項について評価されたのかまでは分かりません。ANSI/TIA、ISO/IEC、JISなど、対象となった規格・基準と、その版や適用範囲を確認することが重要です。
また、何を試験したのかも確認する必要があります。
LANケーブルの伝送性能には、挿入損失、反射減衰量(RL)、近端漏話(NEXT)など複数のパラメーターがあります。Cat.6Aでは、隣接するケーブルから受けるエイリアン・クロストークも重要になります。
したがって、「第三者機関で試験した」という事実だけではなく、どの試験項目について、どのような条件で評価されたのかを見る必要があります。
さらに、その評価が一度だけ実施された試験なのか、継続的な適合性確認を含む認証制度なのかという違いも重要です。
製品の抜き取り試験、工場監査、定期的な確認、製品変更時の再評価などが制度に含まれている場合と、提出された試料について性能試験を実施する場合とでは、「第三者評価」が意味する範囲が異なります。
そのため、LANケーブルの第三者評価を確認するときには、少なくとも次の点を確認するとよいでしょう。
- 誰が評価したのか
- どの規格・基準に対する評価なのか
- どの製品・試料を評価したのか
- どの試験項目を確認したのか
- どのような試験条件で評価したのか
- 評価結果を確認できる試験成績書や公開情報があるか
- 一度の試験なのか、継続的な適合性確認を伴う制度なのか
第三者評価済みでも施工後の認証試験は必要
そして、ここでもう一度重要になるのが、Fluke Networks原文で説明されていた考え方です。
適切な第三者評価を受けたLANケーブルを選定することと、施工後の情報配線システムを認証試験することは、どちらか一方で代替できるものではありません。
第三者評価は、製品を選定する段階で、その製品の性能や規格・基準への適合性を判断するための重要な情報になります。
一方、施工後には、ケーブルだけでなく、接続ハードウェア、施工長、成端状態、施工品質などを含めた完成したリンクまたはチャネルとしての性能を確認する必要があります。
したがって、
製品選定時には第三者評価の内容を確認し、施工完了後には実際の配線を認証試験する。
この二段階で考えることが、情報配線システムの品質を確保するうえで重要です。
まとめ|「認証済み」という表示だけで判断しない
LANケーブルや接続ハードウェアを選定する際、「第三者認証済み」「Listed」「Verified」「規格適合」などの表示は、製品を評価するための重要な情報になります。
しかし、本記事で見てきたように、これらの言葉が示す内容は必ずしも同じではありません。
重要なのは、表示されている言葉だけを見るのではなく、誰が、何を、どの規格・基準に対して、どのような仕組みで評価したのかを確認することです。
また、第三者機関によって評価されたケーブルや接続ハードウェアを使用したとしても、それだけで施工後の情報配線システム全体の性能が保証されるわけではありません。
ケーブル、接続ハードウェア、施工長、成端状態、施工品質などを含めた完成後のリンクまたはチャネルが規格の要求性能を満たしているかどうかは、施工後の認証試験によって確認する必要があります。
したがって、情報配線システムの品質を確保するためには、
製品を選ぶ段階では、その製品に対する第三者評価の内容を確認する。
そして、
施工が完了した段階では、実際に完成した配線を認証試験する。
この2つを分けて考えることが重要です。
Fluke Networksの記事「Third-Party Network Cable Certification: What You Need to Know」は、「Cable Certification」という言葉が使われるさまざまな場面を整理し、製品に対する第三者認証と施工後の配線認証試験との違いを理解するうえで参考になる記事です。
Cabling Cert Techでは今後も、情報配線に関する「認証」「検証」「適合評価」「認証試験」といった、似ているようで意味の異なる用語や制度について、規格や認証・評価機関などの一次情報を確認しながら整理して紹介していきます。


