本記事では、Fluke Networksが公開している技術ブログ「12 および 8 芯 MPO 極性を正しく理解する(Getting 12- and 8-Fiber MPO Polarity Right)」の翻訳をベースに、内容を正確に理解するための解説を行います。

原文は技術的に正確である一方で、物理構造・配列・極性といった異なるレイヤーの情報が同時に説明されているため、読み進める中で整理が必要になる箇所もあります。

そのため本記事では、

  • Fluke Networksの日本語サイトに掲載されている内容を引用し
  • その上でCabling Cert Techとして補足解説を加える

という構成により、メーカーの意図を尊重しつつ、現場で迷わない理解を提供します。

※ここからは、Fluke Networksの日本語ページに基づく内容を引用・整理して掲載しています。


12 および 8 芯 MPO 極性を正しく理解する

2026 年 1 月 6 日/一般、学習、インストールとテスト、ベストプラクティス

光ファイバーの極性は、ファイバーリンクの送信 (Tx) 信号と相手側の対応する受信機 (Rx) が確実に一致するために重要です。この通信を維持するにあたり、特に 12 芯マルチファイバー MPO リンクではよく混乱が生じます。導入を成功させるための鍵となる、必須事項と独自のフィールドソリューションについて詳しく見てみましょう。

Base-8 および Base-12 MPO 接続

MPO コネクターには、さまざまなファイバー数とオス型(ピン付き)またはメス型(ピンなし)のマルチモードおよびシングルモードバージョンがあります。ピンは、コネクターが嵌合されたときに正確なアライメントを確保します。アクティブな機器は通常、オス MPO インターフェイス(ピン付き)を使用するため、受信機の損傷を防ぐために、機器に直接接続される MPO ケーブルはメス(ピンなし)でなければなりません。また、MPO コネクターの上側にはキーがあり、側面には位置 1 を示す白い丸が付いています。

12 芯 MPO コネクターは、データセンターにおけるデュプレックス・バックボーン配線統合において、これまでよく利用されてきました。複数のファイバーで送受信するパラレル光学アプリケーションが登場するにつれ、12 芯 MPO はエンドツーエンドのリンクで人気を得るようになりました。しかし、これらのアプリケーションでは、12 芯すべてを必要としていませんでした。例えば、2010 年と 2015 年にそれぞれ導入された初期の 40GBASE-SR4 および 100GBASE-SR4 アプリケーションは、8 芯のみを使用していました。10 Gb/s または 25 Gb/sで4 つの送信と4 つの受信。

8 芯アプリケーションの初期展開では 12 芯 MPO 接続が頻繁に使用されていましたが、中央の 4 本は使用されておらず、無駄になっていました。この非効率性により、メーカーは 8 芯 MPO 接続の開発を余儀なくされました。差別化を図るため、業界はこの 2 つのソリューションを Base-8 および Base-12 として指定しました。Base-8 MPO コネクターは Base-12 MPO と同じフォームファクターを使用しますが、中央の 4 芯が取り除かれています。

既存の Base-12 MPO インフラを持つデータセンターは、MPO 変換パッチコードまたはカセットを使用することで、ファイバーを無駄にすることなく 8 芯アプリケーションにアップグレードできます。例えば、変換コードまたはカセットは、2 つの Base-12 MPO(合計 24 芯)を 3 つの Base-8 コネクター(合計 24 芯)に分割することができます。

Base-12 MPO 接続は、デュプレックス・アプリケーションにおけるバックボーン配線の統合に引き続き一般的ですが、パラレル光学に導入されることはほとんどありません。これは、現在のパラレル光学系アプリケーションの大半が 8 芯を使用しているためです。

  • 100 Gig:25 Gb/s で 4 芯で送信、4 芯で受信
  • 200 Gig:50 Gb/s で 4 芯で送信、4 芯で受信
  • 400 Gig:100 Gb/s で 4 芯で送信、4 芯で受信

近日公開予定の IEEE 802.3dj 規格は、200 Gb/s で 4 芯で送信、4 芯で受信する 8 シングルモード・ファイバー上の 800 Gig もサポートしています。

MPO 極性の基本

MPO ベースのパラレル光学リンクで高速データ送信を成功させるには、光ファイバーの極性が不可欠です。極性が維持されない場合、一端の送信信号(Tx)がもう一端の受信側(Rx)と一致せず、チャネルは正常に機能しません。

極性には主に方法 A、方法 B、方法 C の 3 つがあります。これらの極性メソッドは、パラレル光学リンクが Base-12 または Base-8 接続を使用するかどうかにかかわらず、同じままです。

方法 A の極性

方法 A では、一端がキーアップ・コネクター、もう一端がキーダウン・コネクターとなるタイプ A の MPO トランク・ケーブルが使用されます。この構成により、位置 1 にあるファイバーが、反対側でも位置 1 になります。

2 つのコネクターをキーアップ − キーダウンで結合するType A アダプターは、一方の端にType A MPO パッチコード、もう一方の端にType B MPO パッチコードを使用して、Tx が正しい Rx に対応していることを確認します。 Type B コードはキーアップ − キーアップであり、位置 1 のファイバーが位置 12 になります。TIA 規格では、1 つのリンクに 1 つのType B パッチコードしか使用できません。

方法 B の極性

方法 B では、両端にキーアップ・コネクターを備えたType B の逆 MPO トランク・ケーブルを使用します。この構成により、位置 1 のファイバーがもう一方の端の位置 12 に接続されます。

方法 B は、キーアップ − キーアップに嵌合するType B アダプターを配したType B トランクケーブルを使用することにより 12 芯 MPO 極性を簡素化します。リンクの両端にType B パッチコードがあるため、チャネル全体でキーアップ − キーアップの配置ができます。同タイプのパッチコードがチャネル全体で均一に使用されるため、コードの選択に関する不確実性が排除されます。

方法 C の極性

方法 C では、ペアが反転するType C クロスオーバー MPO トランクケーブルを使用し、位置 1 のファイバーは反対側の位置 2 に、位置 2 は位置 1 に接続されます。

Type C MPO トランク・ケーブルは、デュプレックス・アプリケーションではうまく機能しますが、パラレル光学系では方法 C は推奨されません。方法 C でパラレル光学をサポートするには、一方の端にペアを反転させる複雑なType C MPO クロスオーバー・パッチコード、もう一方の端にType B パッチコードを配したType A アダプター(キーアップ − キーダウンまで)が必要です。さらに、Type C トランクケーブルやパッチケーブルは容易に入手することができません。

傾斜付き端面のジレンマ

すべてのシングルモード MPO コネクターは、反射率を向上させるため 8 度の傾斜がある斜めの物理コンタクト(APC)端面を使用しています。最近では、反射光により敏感な高速 400 Gig および 800 Gig のアプリケーション向けに、データセンターで APC マルチモード MPO コネクターを見かけることが一般的になりました。

方法 B の極性は両端で同じパッチコード・タイプを使用するため推奨されますが、APC MPO コネクターの嵌合には、端面のアライメントを適切に行うためにキーアップ − キーダウンの構成が必要です。そのため、Type A アダプターはほとんどの場合、方法 B の極性で使用され、「代替方法 B」と呼ばれます。 Type A アダプターを使用すると、Type B ケーブルの方向が変わり、キーアップ − キーダウン構成が確実に変更され、傾斜した端面に対応できます。

適切な極性を確保する方法

極性方法は設計段階で決定し、正しいコンポーネントが購入されていることを確認する必要があります。残念なことに、極性にまつわる混乱のせいで設置後に誤ったケーブルやパッチコードの使用が発覚することが多くあります。また、事前に成端処理された MPO アセンブリーやジャンパーは通常受注生産されるため(多くの場合、返品できません)、間違った極性の部材を注文すると、予期せぬプロジェクトの遅れやコストが発生する恐れがあります。

フルーク・ネットワークスの MultiFiber℠ Pro テスターを使用すると、個々のパッチコード、パーマネント・リンク、チャネルの極性が正しいかどうかをテストできます(わずか 6 秒ですべての 8 本または 12 本のファイバーの挿入損失の結果を自動的にスキャンおよびテストできることは言うまでもありません)。トランク・ケーブルがType A であるにも関わらず、誤ってType B パッチコードを注文し両側に装着した場合は、MultiFiber Pro で問題を検出できます。

正しい極性のパッチコードを再注文(そしてそれを待つ)したり、異なる極性タイプの在庫を大量に維持する代わりに、UPC マルチモード MPO コネクターによっては、現場で極性を変更することができます。この機能によって、現場でミスを修正することでコストを削減し、遅延を防ぐことができます。

  • US Conec の MTP Pro: このコネクターのキー位置は、特殊工具でキーアップとキーダウンの間で変更できます。コネクターはカチッと音がするまでツールの極性変更ポートに挿入し、取り外します。
  • Panduit の PanMPO:簡単に外せる交換可能なハウジングを使用して、これを 180 度回転させ、コネクターのキー方向を上向きまたは下向きに変更して取り付けることで、極性を変更できます。 

PanMPO と MTP PRO はまた、UPC と APC シングルモードおよびマルチモード・コネクターの両方でピンを押し込んだり出したりして、オス/メスの変更もできるため、アクティブな機器やアダプターを確実に嵌合できます。 さらに、Senko の MPO コネクターや、US Conec および Senko コネクターのライセンスを供与する複数の接続メーカーが提供するコネクターでもPin有/無を変更することができます。端面が斜めになっているため、APC コネクターでは極性を変更できないことを覚えておいてください。


※ここまでがFluke Networksの原文に基づく翻訳です。ここからはCabling Cert Techとしての解説を行います。

■ Cabling Cert Techによる解説


▶ 図の見方で混乱しやすいポイント

MPOコネクタの説明では、以下のような視覚的な要素が登場します。

  • キー(コネクタの向きを決める突起)
  • White Dot(ポジション1を示す目印として使用される場合がある表示)

これらは、それぞれ明確な役割を持っています。


一方で、これらの要素を同じものとして捉えてしまい、混乱が生じるケースがあります。


また、White Dot(白いドット)は、ポジション1を示す目印として使用されることがありますが、メーカーや製品によっては表示されていない場合もあります。


本記事解説では、混乱を避けるために、

  • キー:向きを決める基準
  • White Dot:補助的な目印

として整理し、ポジション番号の判断はキーの位置を基準に行うものとして説明します。

▷ 補足:APCコネクタにおける接続方向の違い

ここまで、ポジション番号の判断はキーの位置を基準に行うことを説明しましたが、
APC(Angled Physical Contact)コネクタでは、さらに「端面の向き」も重要な要素となります。

以下の図は、APCコネクタにおける接続方向の違いを示したものです。

図に示すように、

  • (a) 同方向(Key Up / Key Up)で接続した場合
     → 斜め端面の向きが一致せず、接触不良や反射増加の原因となります
  • (b) 逆方向(Key Up / Key Down)で接続した場合
     → 斜め端面が互いに向かい合い、安定した接触が得られます

このように、APCコネクタでは極性(ポジション番号)だけでなく、端面の向き(Key方向)まで含めて設計することが重要です。


▷ 正しい理解

MPOコネクタにおいて、極性やポジション番号を判断する基準は以下の通りです。

👉
キーを上にして、コネクタの端面(接続面)を正面から見たとき、左がポジション1


このルールにより、

  • 図の表現方法に依存せず
  • メーカーごとの違いに影響されることなく

一貫した理解が可能になります。


▷ 補足:図の読み解きのポイント

図を読み解く際は、以下のような視点で整理すると理解しやすくなります。

  • コネクタの「形状」(キーやピン位置)を基準に判断する
  • 注釈用の記号(矢印・丸など)は補助情報として扱う

資料のダウンロード

▶ 関連製品のテクニカルデータシート

※仕様・測定レンジ・対応規格を確認できます

👉 MultiFiber™ Pro MPO/MTP 光損失測定キット データシート

※詳細仕様・対応規格はこちら


👉 CertiFiber™ Max 多芯光損失試験セットのデータシート

※詳細仕様・対応規格はこちら


👉 Cabling Cert Tech|ナレッジベース

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