本FAQは、400G/800Gといった高速通信が主流となる現代において、光ファイバー配線の測定に関する重要な疑問に答えることを目的としています。

データセンターやエンタープライズネットワークの進化に伴い、配線規格や測定方法も複雑化しています。
本FAQが、設計者、施工業者、ネットワーク管理者など、光ファイバー配線に携わる皆様の実務の一助となれば幸いです。

なお、本FAQは、Fluke Networks が公開しているテクニカル資料や製品情報をはじめ、業界規格・技術資料を参考に、Cabling Cert Tech が独自に整理・解説した技術解説コンテンツです。

目次

第 1 章:規格と許容損失(IL)の基礎知識

Q1. 配線規格(TIA/ISO/JIS)における挿入損失(IL)の基準値は?

A. 最新の構内配線規格における、コンポーネントごとの最大許容損失値は以下の通りです。合否判定の基準となる重要な値ですが、規格によって「コネクタのグレード」や「接続損失等級」による分類が異なる点に注意が必要です。

規格団体最新規格名接続タイプ / 等級許容損失 (1コネクタペア)許容損失 (1融着スプライス)
TIAANSI/TIA-568.3-E標準 ⇔ 標準0.75 dB0.3 dB
  リファレンス ⇔ 標準0.50 dB-
ISO/IECISO/IEC 11801-1Grade A (最大)0.15 dB (超低損失)0.3 dB (一般)
  Grade B (最大)0.25 dB 
  Grade C (最大)0.50 dB 
  基準値 (Default)0.75 dB 
JISJIS X 5150ISO/IECと同等0.75 dB (一般)0.3 dB (一般)

【補足】

  • TIA 規格(北米・世界標準): 接続するコネクタが「標準品」か、テスターに使用される「リファレンス(試験用)品」かによって許容値が変わります。
  • ISO/IEC 規格(国際標準): コネクタの性能等級(Grade A/B/C等)で細かく規定されています。例えば、IEC 61753-1では、Grade Aは最大0.15dB(平均0.07dB)と極めて厳しい超低損失等級であり、現在の量産品では実現が困難な目標値とされています。Grade Bは最大0.25dB(平均0.12dB)、Grade Cは最大0.50dB(平均0.25dB)のように規定されています。TIA規格の0.75dBと比較して厳しい基準が設定される場合もありますが、一般的なフィールド試験のデフォルト合否基準としては0.75dBが採用されることが一般的です。

Q2. TIA 規格が「D」から「E」になって何が変わりましたか?

A. 2022年に発行されたANSI/TIA-568.3-Eが最新版です。旧版(TIA-568.3-D)の追補版(Addendum 1)で追加された「リファレンスグレードコネクタとの接続損失は0.50dBとする」というルールが正式に統合されました。これにより、リンク両端(テスター接続部)の許容損失が0.75dBから0.50dBに厳格化され、リンク全体の合格ライン(バジェット)が0.5dB分厳しく(低く)なっています。また、マルチモードファイバーにおいてOM5が標準的な位置づけとなり、OM1/OM2などの古い規格が整理されています。仕様書には最新の「TIA-568.3-E」を記載することが推奨されます。

Q3. 「0.50 dB」のルールは、合否判定にどう影響しますか?

A. リンク全体の合格ライン(許容損失バジェット)が従来よりも厳しくなります。テスター(CertiFiber Pro等)で最新規格を選択すると、リンク両端の接続損失が「0.75dB」ではなく「0.50dB」で計算されるため、合計で0.5dB分、合格基準が厳格化(マージンが減少)します。400Gなどのシビアな回線では、この差が合否を分ける可能性があります。

第 2 章:400G/800G アプリケーションとのギャップ

Q4. 400GBASE-DR4 などの「アプリケーション規格」の損失許容値は?

A. 配線規格(TIA等)とは別に、IEEEやMSA(業界団体)が定める「通信機器が動作するための限界値」です。設計時はこちらの値を絶対的な上限(Loss Budget)とする必要があります。

アプリケーション規格策定距離最大許容損失備考
400GBASE-DR4IEEE 802.3bs500m3.0 dBデータセンター内の主流
400G-LR4100G Lambda MSA10km6.3 dB市場で一般的なLR4
400GBASE-LR4-6IEEE 802.3cu6km6.3 dBIEEE準拠のLR4 (距離注意)

【補足】 「LR4」と呼ばれるトランシーバーには、MSA準拠(10km)とIEEE準拠(6km)が混在しています。どちらも許容損失は6.3dBですが、到達距離が異なるため選定時は注意が必要です。

Q5. 「TIA 規格には合格したのに、400G がリンクしない」のはなぜ?

A. 「配線規格(TIA)」と「アプリケーション規格(IEEE/MSA)」の目的のズレが原因です。

  • TIA: 「標準的な部材(0.75dB)で正しく施工されているか」を判定します。
  • IEEE/MSA: 「トータル損失(例: 3.0dB)に収まっているか」を要求します。

接続点が多い場合、TIAの計算では合格(例: 3.75dB)でも、IEEE/MSAのリミット(3.0dB)を超えてしまい通信断となることがあります。これを防ぐにはLow Loss(低損失)部材の採用が必須です。

この違いを視覚的に整理すると、次のようになります。

400G/800GにおけるTIA配線規格とアプリケーション規格の評価軸の違い

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