Cabling Cert Tech 技術解説記事|2026年10月17日

AIデータセンターでは、GPUを高密度に収容するラックとネットワークスイッチの間で、多数の光ファイバー接続が必要になります。ラックやPodを増設する際には、光ファイバーの本数だけでなく、接続作業、識別、配線確認、障害切り分けに伴う負担も大きくなります。

特に、現地で個々のコネクタを多数接続する方法では、作業回数が増え、配線ミスや確認漏れのリスク管理が重要になります。CommScopeが提案するRapid Fiber Connectは、こうした課題に対し、ラック内の配線を事前に構成し、ラック間を高心数の一括接続でつなぐアプローチを採用しています。

Rapid Fiber Connectは、CommScopeがAIデータセンター向けに提供するラックスケールの光ファイバー接続プラットフォームです。工場で終端・事前構成した配線を活用するプラグアンドプレイ方式を採用し、ラック間の高密度な光ファイバー接続作業の簡素化を図っています。

基本構成は、①GPUキャビネット用パネル、②スイッチキャビネット用パネル、③両パネルを接続するMass Insert対応トランクケーブルの3要素です。GPUやスイッチ側の接続をラック内でまとめ、ラック間の接続作業を簡素化することを目的としています。

【GPU用パネル】GPUキャビネット内にあらかじめ組み込むパネルです。前面アクセス方式を採用し、基本仕様は1RU、最大960心の収容能力を備えています。初期の設計は、72 GPUを搭載するラックスケール構成向けに最適化されています。ただし、あらゆるGPUラックとの互換性を保証するものではありません。

【スイッチ用パネル】スイッチキャビネットに組み込むパネルです。前面・背面アクセス構成に対応し、基本仕様は1RU、最大1,728心を収容します。積み重ね可能な構成も用意されていますが、実際のラックユニット数や収容心数は、採用する構成ごとに確認する必要があります。

【Mass Insertトランク】GPU用パネルとスイッチ用パネルを接続する高心数トランクです。シングルモードとマルチモードの両方に対応しており、ラック間やPod間の接続に使用する構成が用意されています。

図2:Rapid Fiber Connect GPU用パネルの外観とトランクケーブル接続部
出典:CommScope「Rapid Fiber Connect」公式製品紹介ページ

Rapid Fiber Connectの特徴となるMass Insertは、複数の光コネクタをまとめて接続する方式です。16心MMCコネクタ6個を一つの接続単位にまとめ、合計96心の光ファイバーを1回の挿入操作で接続できます。これにより、多数のコネクタを個別に挿入する作業を集約できます。

また、CommScopeは、個別のMPO12/8コネクタによる接続と比較して、ラック間の接続操作(クリック)回数を約12分の1に削減できると説明しています。ここで比較されているのは接続操作の回数であり、施工時間全体が12分の1になることを示すものではありません。

Rapid Fiber Connectでは、接続操作回数の削減に加え、接続密度の向上も特徴としています。ただし、接続密度と接続操作回数は異なる指標であり、それぞれの比較条件を区別して理解する必要があります。

CommScopeのRapid Fiber Connectは、GPU側・スイッチ側の出力ピッグテールを事前に構成し、ラベルや色分けによって接続先を識別しやすくしています。ラックをデータホールに搬入する前に機器との接続や配線確認を進め、現地ではMass Insert対応トランクによるラック間接続を行います。このように、ラック内の事前作業と現地でのラック間接続を分担できる点が特徴です。

この方式により、ラック内配線の接続・確認作業を事前に進められるため、現地作業の効率化が期待できます。特に、多数のラックを段階的に導入するAIデータセンターでは、事前準備と現地接続を分けられることが利点となります。

Rapid Fiber Connectは、シングルモードとマルチモードの双方に対応しています。CommScopeは、Pod内をマルチモードで接続する構成や、システム全体をシングルモードで構成する例を示しており、ネットワーク構成に応じた選択が可能です。実際のファイバー種別は、使用する光トランシーバ、接続距離、リンク設計などを考慮して決定します。

CommScopeのOrdering Guideでは、短い距離にバンドルアレイ(最大100フィート/約30m)、それより長い距離にトランクを推奨しています。これは製品構成に関する推奨であり、光ファイバー通信の一般的な最大伝送距離を30mとするものではありません。

GPU・スイッチ側では、初期構成としてMPO12/8を中心とした接続方式が採用されています。一方、CommScopeは、トランシーバや顧客要件に応じた他のMPO/MMC構成にも言及しています。実際に注文できる端末形状、極性、Pinned/Unpinnedの組み合わせについては、個別に確認する必要があります。

Rapid Fiber Connectは、高心数の接続をラック単位で整理する考え方を提供する。ただし、採用にあたっては、GPUラックとスイッチラックの機器構成、ポート配置、ファイバー種別、必要心数、トランク経路、極性・嵌合仕様、保守時のアクセス性などを整合させる必要がある。

CommScopeのFAQでは、「2つ以上のSuperpod(2,304 GPU以上)」のAIクラスタ構築に関わる顧客を想定していますが、これは製品の最低導入規模を定める条件ではありません。また、資料に記載された2026年の注文開始見込みやリードタイムは、現時点の国内供給状況を保証するものではありません。採用可能な型番・納期・構成については、CommScopeへの確認が必要です。

CommScopeのRapid Fiber Connectは、GPU・スイッチ側のラック内配線を事前に構成し、Mass Insertによる96心一括接続でラック間を結ぶ光ファイバー接続プラットフォームです。高密度な光配線をラック単位で準備・接続できる仕組みにより、AIデータセンターの構築や拡張に伴う現地接続作業の効率化を図っています。

一方、収容心数、接続操作回数、接続密度、施工時間は、それぞれ異なる指標です。導入効果を評価する際には、CommScopeが示す仕様や比較条件と、実際のラック設計・施工条件を分けて確認することが重要です。

参考資料(メーカー公式)

  • CommScope, Rapid Fiber Connect™ platform frequently asked questions, CO-120825-EN, 03/26.
  • CommScope, Rapid Fiber Connect™ plug-and-play connectivity platform, CO-120546.2-EN A4, 03/26.
  • CommScope, Rapid Fiber Connect™ platform Ordering Guide, First Edition, CO-120752-EN, 03/26.
  • 公式製品ページ:https://ja.commscope.com/solutions/data-center/portfolio/rapid-fiber-connect/
  • 日本語ニュースレター:https://www.commscope.com/newsletters/data-center/26.4-dc/26.4-dc-japanese