Cabling Cert Tech より

本記事は、Cabling Cert TechのパートナーであるFluke Networksの公式ブログ「Top 10 Cable Testing Mistakes to Avoid」を日本語化し、Cabling Cert Tech独自の技術解説を加えて編集したものです。

ケーブル認証試験では、測定器の性能だけでなく、試験条件の事前合意、適切なアダプターの選択、測定データの保存、光ファイバーの端面管理など、さまざまな要素が試験結果の信頼性に影響します。

本記事では、Fluke Networksが紹介する現場でありがちな10の失敗例を取り上げ、後半の「Cabling Cert Tech 技術解説」で、試験・認証における重要なポイントを補足します。

以下、Fluke Networks原文の日本語訳

ネットワーク配線システムの施工、試験、認証を行う優れた技術者は、規格に基づく性能パラメーターを満たし、ネットワークアプリケーションへの対応を確保することの重要性を理解しています。しかし、どれほど熟練した技術者でも、収益性や顧客満足度に悪影響を及ぼすミスを犯すことがあります。ここでは、ネットワーク配線システムを試験する際に避けるべき10の失敗例を紹介します。

#1:試験パラメーターについて事前に合意していない

メタル配線システムの認証試験に関して、ANSI/TIA-568.2やISO/IEC 11801などの業界規格では、以下のような基本的な性能パラメーターが規定されています。

  • インサーションロス(挿入損失:IL)
  • リターンロス(反射減衰量:RL)
  • 近端クロストーク(NEXT)および遠端クロストーク(FEXT)
  • カテゴリー6Aでは、エイリアンクロストーク(Alien Crosstalk)の試験も必要です。これは、10GBASE-Tの動作可否に影響を及ぼす重要な性能パラメーターであるためです。

フィールド試験には、追加のオプション項目として、平衡度に関する性能パラメーターを含めることもできます。

  • 直流抵抗アンバランス(DC Resistance Unbalance)は、ペア内の導体間およびペア間の直流抵抗の差を算出し、Power over Ethernet(PoE)への対応能力を示す指標となります。
  • 横方向変換損失(TCL)および等レベル横方向変換損失(ELTCTL)は、ペア内のコモンモード信号を測定し、エイリアンクロストークを含むノイズに対する耐性に必要な平衡度が確保されているかを示します。

DSX CableAnalyzer™ 認証テスターのデフォルトのテストリミットは「(+PoE)」で、直流抵抗アンバランスがテスト項目に含まれています。テストリミットで「(+All)」を選択すると、TCLおよびELTCTLのパラメーターが追加されます。

メタル配線システムの認証試験では、技術的には、対象となるアプリケーションに適用される業界規格で規定されたパラメーターについて試験を実施する必要があります。これには、カテゴリー6Aのエイリアンクロストークも含まれます。しかし、最終的にどのパラメーターを試験するかは、規格の規定や業界専門家の推奨内容にかかわらず、顧客のプロジェクト仕様によって決まります。また、プロジェクト仕様で配線システムの保証が要求されている場合は、配線メーカーが指定するパラメーターについても試験を実施する必要があります。

初回の試験で見落としていたパラメーターを再試験することによって生じる、時間と費用の無駄は、当然避けたいものです。そのため、顧客および配線メーカーと事前に協議し、すべての試験パラメーターについて合意しておくことが不可欠です。こうした事前の合意は、プロジェクト費用の見積もりや作業準備にも役立ちます。特に、直流抵抗アンバランス、TCL、ELTCTLといった比較的新しいパラメーターを含め、指定されたすべての試験パラメーターに、使用するテスターが対応しているかを確認することも重要です。幸い、これらのパラメーターは、Fluke NetworksのDSX CableAnalyzer™ 認証テスターで測定できます。

ケーブル認証試験では、試験項目と測定条件の事前合意が重要です。

試験内容について事前に合意しておくことの重要性は、光ファイバー試験においても同様です。光ファイバー試験についても、Tier 1試験とTier 2試験のどちらを実施するか、顧客および配線メーカーとの間で認識を一致させておく必要があります。これにより、光損失試験セット(OLTS:Optical Loss Test Set)に加えて、光時間領域反射測定器(OTDR:Optical Time Domain Reflectometer)が必要かどうかを事前に判断できます。

  • Tier 1試験: OLTSを使用するTier 1試験は、光ファイバーリンク全体の挿入損失を最も正確に測定する方法であり、業界規格で要求されています。
  • Tier 2試験: OTDRを使用するTier 2試験は、光ファイバーリンク上の個々の接続点(スプライス)やコネクターの挿入損失および反射率の特性を評価する拡張試験です。なお、顧客との間でTier 2試験の実施に合意した場合でも、アプリケーションへの適合性を確認するためには、OLTSによる試験が引き続き必要です。これは、OLTSがリンク全体の挿入損失を正確に測定できるためです。

#2:試験結果がマージナル(リミット値付近)となった場合の取り扱いについて合意していない

施工業者としては、規格に適合したケーブルの試験結果が、すべてPASS(合格)になることを期待するでしょう。しかし、施工方法、使用する部材の品質、さらには試験器自体の品質など、さまざまな要因によって、リンクの試験結果がマージナルパス(リミット値付近の合格)の領域に入ることがあります。これは、測定結果とテストリミットとの差が、フィールド試験器メーカーが公表する測定確度の範囲内にある状態を指します。TIAおよびISO/IEC規格では、マージナルパスも合格と見なされ、規格に適合していると判断されます。

また、これらの規格では、パラメーターの試験結果がマージナルとなった場合、アスタリスク(*)を付けて表示することが明確に規定されています。このことからも、試験器の測定確度が判定に関係していることが分かります。

図:測定確度を考慮したテストリミット付近の判定領域(Pass/Pass*/Fail/Fail*)

Fluke NetworksのVersiv™ ケーブル認証テスターのように、業界規格に適合し、優れた測定確度と再現性を備えたテスターを選択することで、マージナルな試験結果の発生を最小限に抑えることができます。アスタリスク(*)の表示を無効にしてマージナルなテスト結果を隠せるテスターは、規格に適合していません。さらに、そのようなテスターの使用は、施工業者としての信頼や事業そのものを危険にさらす可能性があります。

また、試験器を常に最良の状態に保つことも重要です。ファームウェアを最新の状態に維持し、必要に応じて保守・校正を実施するとともに、パーマネントリンクアダプターが摩耗していないことを確認してください。

あらゆる対策を講じても、マージナルパスが発生することはあります。特に、クロスコネクトやコンソリデーションポイントなど、接続箇所が追加される構成では、その可能性が高くなります。顧客によっては、高品質であるはずの配線システムでなぜマージナルパスが発生するのかと疑問を抱き、その結果の受け入れを拒否するかもしれません。そのような場合に備え、施工業者として自らの立場を守れるようにしておくことが重要です。規格の規定を思い出してください。マージナルな試験結果を受け入れないことが書面で明示され、合意されていない限り、マージナルパスは引き続き合格として扱われます。

したがって、マージナルな試験結果の取り扱いについて事前に合意しておくことが賢明です。

#3:エイリアンクロストーク試験を行き当たりばったりで実施する

データセンターにおけるケーブル認証試験の様子

試験パラメーターは、顧客のプロジェクト仕様やメーカーの保証条件によって決まりますが、カテゴリー6Aの配線施工では、PS ANEXTおよびPS AACR-Fを含むエイリアンクロストーク試験が必要となる可能性が高いでしょう。これは、10GBASE-Tアプリケーションへの適合性を実証する唯一の方法であり、多くの配線メーカーは、この試験を実施しなければシステム保証を提供しません。

エイリアンクロストーク試験を省略できるのは、試験が仕様で要求されておらず、かつ顧客と配線メーカーの双方が試験を実施しないことに合意している場合に限られます。すべてのリンクについてエイリアンクロストークの適合性を試験することは、費用面でも実務面でも現実的ではないと思われるかもしれません。しかし、心配する必要はありません。業界規格では、以下の表に示す推奨事項に基づいて、エイリアンクロストーク試験のサンプル数を設定することが認められています。規格では、短距離、中距離、長距離の被妨害リンク(Disturbed Link)を、それぞれ同数ずつ試験することを推奨しています。また、それぞれの長さ区分について、各3本の被妨害リンクでマージンが5 dBを超えた場合は、試験を終了してもよいとされています。

表:総リンク数に応じたエイリアンクロストーク試験の推奨サンプル数

被妨害リンクを選定する際は、コネクター列の端に位置するリンクを選ばないでください。この位置は、ワーストケース(最も厳しい条件)にはならないためです。被妨害リンクは、その終端コネクターの上下にも他のコネクターが配置されているリンクを選定してください。ただし、妨害リンク(Disturber Link)が同じケーブル束内にあることを必ず確認してください。異なるケーブル束の間で発生するエイリアンクロストークは、重大な影響を及ぼすものとは考えられていません。

シールド付きケーブルは、非シールドケーブルと比較してはるかに優れたノイズ耐性を備えており、エイリアンクロストークはほとんど発生しないはずです。しかし、シールド付きケーブルでシールドが導通していない(オープン状態になっている)場合、エイリアンクロストーク試験で不合格となる可能性があります。これは、シールドを正しく施工していないことが原因で発生する場合があります。例えば、ケーブル内部のシールド箔(フォイル)の非導電面をクランプしてしまうケースです。

多くの試験器は、メインユニット側とリモートユニット側のシールド間の単純な導通を確認します。しかし、測定信号はリモートユニットに到達できるあらゆる経路を通ろうとします。その経路には、パッチパネルやラックが接続されている建物共通の接地系統も含まれます。つまり、シールド自体が途中で導通していない場合でも、試験器にはシールドが導通していると表示されることがあります。このような問題は、特許取得済みの測定技術によってシールドの完全性に問題がある箇所までの距離を報告できるDSX CableAnalyzer™ 認証テスターを使用することで回避できます。

エイリアンクロストーク試験を行き当たりばったりで実施しても何とかなると考えているなら、考え直した方がよいでしょう。プロジェクト仕様やメーカー保証の条件としてエイリアンクロストーク試験が要求される場合は、シールド付き配線か非シールド配線かにかかわらず、規格の推奨事項に従って試験対象とするサンプル数を指定する必要があります。これを怠ると、すべてのリンクについてエイリアンクロストーク試験を実施しなければならなくなるおそれがあり、その見落としによって多大な費用が発生する可能性があります。

#4:パーマネントリンクではなくチャネルを試験してしまう

ネットワークにおけるチャネルとは、パッチコードや機器コードを含め、アクティブ機器間の配線区間全体を指します。例えばデータセンターでは、クロスコネクトやインターコネクト部分のパッチコードを含む、アクセススイッチからサーバーまでの配線区間が該当します。また、LANでは、通信室内のアクセススイッチから、ノートPC、カメラ、Wi-Fiアクセスポイントなどの端末機器までの配線区間が該当します。これには、スイッチからパッチパネルまでのパッチコードや、情報コンセントから端末機器までの機器コードも含まれます。業界規格では、チャネル全体の長さは100 mを上限とし、その内訳は、最大90 mの配線ケーブルと、合計10 m以下のパッチコードとされています。

パーマネントリンクとは、チャネルのうち、最大90 mまでの固定配線区間を指します。一般的には、データセンターではパッチパネル間の配線、LANではパッチパネルからワークエリアの情報コンセント、またはコンソリデーションポイントまでの配線で構成されます。

図:データセンターにおける2コネクターパーマネントリンクの構成と測定範囲

ネットワーク上のアクティブ機器同士が通信する際、チャネルはエンドツーエンドの配線区間全体を構成するため、適切なデータ伝送にはチャネルの性能が重要となります。そう考えると、チャネル試験を実施するのが当然の選択だと思われるかもしれません。しかし、そうではありません。

業界規格によれば、規格に適合したパーマネントリンクに、規格に適合したパッチコードを組み合わせれば、チャネルの試験結果は必ず合格となります。しかし、非常に高品質なパッチコードを使用してチャネル試験だけを実施した場合、パーマネントリンク自体の問題が検出されず、後になってチャネルが正常に機能しなくなる可能性があります。

ネットワークの運用が開始されると、機器の構成変更に伴って、パッチコードの接続位置が変更されたり、交換されたりすることがよくあります。また、パッチコードは他のどの配線部材よりも頻繁に取り扱われるため、損傷を受けやすいという特徴があります。このため、パッチコードはチャネルにおける「最も弱い部分(Weakest Link)」と呼ばれることがあります。

最初に高品質なパッチコードを使用してチャネル試験に合格していても、その後、いずれかのパッチコードが損傷したり、規格の最低要件をかろうじて満たすパッチコードに交換されたりすると、チャネルが合格しなくなる可能性があります。したがって、パーマネントリンクの試験を実施することが不可欠です。パーマネントリンクこそが、ネットワークの真の基盤となる部分だからです。試験に合格したパーマネントリンクに、規格に適合した良質なパッチコードを組み合わせれば、最終的なチャネルも合格するはずです。

DSX CableAnalyzer認証テスターに付属するパーマネントリンクアダプターが最高品質である理由の一つは、ここにあります。これらのアダプターは、試験対象のパーマネントリンクの性能に悪影響を及ぼさないよう設計されており、最終的には、規格に適合したパッチコードとの相互運用性を確保することにつながります。

#5:MPTLを誤ったアダプターで試験する

モジュラープラグ終端リンク(MPTL:Modular Plug Terminated Link)は、水平配線ケーブルの一端をモジュラープラグで終端し、機器に直接接続する配線方式です。業界規格では、情報コンセントや機器コードの設置が現実的でない、あるいは安全上の問題がある場所に機器を接続する場合の選択肢として、この配線構成が認められています。また、PoE照明や監視カメラなど、通常は設置後に移動する必要のない機器にも適しています。

MPTLは機器に直接接続する構成のため、2つのパーマネントリンクアダプターを使用してリンク試験を行うような、一般的な4コネクターチャネルとは構成が異なります。ただし、遠端側の現場成端プラグの性能についても、確実に検証できるようにする必要があります。

遠端側にチャネルアダプターを使用する技術者もいますが、この方法では遠端側の嵌合接続部が試験対象から除外されるため、実際よりも良好な測定結果となり、現場成端プラグの問題を見逃す可能性があります。その結果、ケーブルを機器に接続した際に、リンクが正常に機能しないというリスクが生じます。

業界規格では、代わりに、図に示すように近端側にパーマネントリンクアダプター、遠端側にパッチコードアダプターを使用することが要求されています。これにより、現場成端プラグの性能が試験結果に確実に含まれるようになります。Fluke Networksでは、この試験を容易に実施できるよう、DSX CableAnalyzer認証テスターのパーマネントリンクアダプターとともに、シングルパッチコードアダプターを提供しています。試験器のテストリミットでは、必ず「MPTL」を選択してください。

図:MPTL認証試験の正しいアダプター構成
(近端側:パーマネントリンクアダプター/遠端側:パッチコードアダプター)

#6:テスト結果のプロットデータの保存を有効にし忘れる

プロットデータとは、認証試験で要求される測定パラメーターを、フルカラーのグラフで表示したものです。メタル配線の認証試験では、インサーションロス(IL)、リターンロス(RL)、近端・遠端クロストークに関連するパラメーター(NEXT、PSNEXT、PSACRN、ACRF、PSACRF)、さらにエイリアンクロストーク(PS ANEXT、PS AACR-F)など、主要な測定項目のグラフがプロットデータに含まれます。

各グラフでは、縦軸(Y軸)にデシベル(dB)、横軸(X軸)に周波数が表示されます。測定する配線のカテゴリーによって周波数範囲は異なり、カテゴリー5eでは100 MHzまで、カテゴリー6では250 MHzまで、カテゴリー6Aでは500 MHzまでとなります。なお、測定周波数範囲を拡張することも可能です。これは、ケーブルをより上位の規格に基づいて再認証する際に役立つ場合があります。

DSX CableAnalyzer認証テスターによるプロットデータの表示例

各グラフの滑らかな赤い線は、試験に適用している規格(TIA、ISO/IECなど)のテストリミットを示しています。一方、凹凸のある色付きの線は、各ペアおよびペアの組み合わせごとの測定結果を示しています。実際の測定結果には山や谷が現れるため、これらの線は凹凸のある形状になりますが、テストリミットを上回っている限り、問題はありません。

図:LinkWare PCによる認証試験レポートの比較(左:プロットデータあり/右:プロットデータなし)

プロットデータの保存を有効にしておくことは不可欠です。プロットデータは通常、認証試験で要求されるものであり、ケーブル内の各ペアの性能について、視覚的に把握できる貴重な情報を提供するためです。また、クロストークがどこで発生しているかを確認できるため、試験対象リンクに生じている問題の原因を的確に診断するためにも欠かせません。

さらに、DSX CableAnalyzer認証テスターでHDTDX(High Definition Time Domain Crosstalk)およびHDTDR(High Definition Time Domain Reflectometry)のデータを記録するには、プロットデータの保存を有効にする必要があります。これらのパラメーターは、時間領域の情報を表示し、試験対象リンク上でクロストークや反射減衰量に問題が生じている箇所を特定するために使用されます。

Fluke Networksのトラブルシューティングサポートを受ける場合にも、プロットデータは不可欠です。Fluke Networksの技術専門スタッフが解析できるプロットデータが保存されていない場合、プロットデータの保存を有効にして再試験するよう依頼されるため、試験に要する時間が2倍になってしまいます。

幸い、DSX CableAnalyzer認証テスターでは、選択したテストリミットで要求される周波数領域の試験について、プロットデータを表示・保存する設定がデフォルトで有効になっています。少なくとも、このデフォルト設定を維持することを推奨します。「Extended(拡張)」を選択すると、選択したテストリミットの周波数範囲を超えるデータも保存されます。

さらに、性能マージン(Headroom)を視覚的に確認できることは、顧客にとっても有益です。プロットデータのないレポートでは、こうした視覚的な情報が欠けてしまいます。

#7:光ファイバーの適切な端面検査と清掃を省略する

光ファイバーの端面検査の重要性について、繰り返し注意喚起や教育が行われているにもかかわらず、接続部の汚染は依然として、光ファイバーネットワークにおける問題や障害の最大の原因となっています。

光ファイバーのクロスコネクト、機器のポート、ジャンパーケーブルの端部など、光ファイバー端面が露出している場所では、常に汚染のリスクがあります。ファイバーコア上に微粒子が付着すると、損失や反射の原因となる可能性があります。

最終的な接続を行う前に、光ファイバー端面の適切な検査と清掃を省略したり、うっかり忘れたりすると、顧客に満足してもらい次の仕事へ進めるか、それとも問題のトラブルシューティングに余分な時間と費用を費やすことになってしまうかが、大きく左右されます。

光ファイバー端面を検査する際、ファイバーマイクロスコープを使用して、簡単に目視確認するだけでは十分ではありません。検査者の経験、周囲の照明環境、視力、さらには作業を急いでいるか、疲れているかといった状態によっても、光ファイバー端面の検査精度に影響が及ぶ可能性があります。

幸い、検査プロセスの効率化を図り、人による主観的な判断を排除するための光ファイバー端面検査規格が存在します。IEC 61300-3-35(光ファイバー接続デバイスおよび受動部品の基本試験・測定手順)では、推奨される端面清掃・検査プロセスが示されています。これには、光ファイバー端面の重要な領域であるコアおよびクラッド部分に見られる傷や欠陥の数と大きさに基づく、具体的な清浄度判定基準が含まれています。

この規格に従うことで、不要なケーブルや機器の交換、それに伴う余分な費用を回避することにもつながります。

光ファイバー端面検査ツールを使用した端面検査の様子

さらに、Fluke Networksの光ファイバー端面検査ツールには、IEC 61300-3-35規格に基づいてPASS/FAIL(合否)を自動判定する機能が用意されています。

#8:Tier 1光ファイバー試験でワンジャンパーリファレンスを使用しない

Tier 1光ファイバー試験において、コネクター損失とは、嵌合した一対のコネクターの損失を指します。コネクター単体の損失を測定することは、原理的にほぼ不可能です。

パッチパネル間などの光ファイバーパーマネントリンクを試験する際は、始端と終端の両方のコネクター損失を含める必要があります。これは、実際の配線システムがそのような接続構成で使用されるためです。これらのコネクターの損失を測定するには、テスト基準コード(TRC:Test Reference Cord)を使用し、同等の品質を持つコネクターと嵌合させる必要があります。

テスト基準コード(TRC)を使用した光ファイバーリンクの損失測定の様子

TRCを使用する場合、テスターではリファレンス(基準値)を設定し、TRC自体の損失を考慮する必要があります。これは、はかりの上に容器を置いてから表示をゼロに合わせ、容器の中に入れたものの重さを正確に測定するのと同じ考え方です。

業界規格では、リファレンスの設定方法として、ワンジャンパーリファレンス法の使用を推奨しています。この方法により、チャネルの両端にある接続部の損失をテスト結果に含めることができます。チャネル内で発生する損失の大部分は、これらの接続部に起因するため、ワンジャンパーリファレンス法は最も高い測定確度を実現します。

2ジャンパーリファレンス法の方が合理的に思えるかもしれません。しかし、この方法では、2本のジャンパー間の接続損失がリファレンス設定時に差し引かれるため、最終的な損失測定には、リンクの片端の接続損失しか含まれません。そのため、総損失の一部しか反映されず、実際よりも過度に良好な測定結果や、場合によっては負の損失値が得られることもあります。

このように、2ジャンパーリファレンス法によって負の損失値が生じた場合、Fluke NetworksのCertiFiber Pro™ 光損失試験セット(OLTS)では、警告が表示され、FAIL(不合格)と判定されます。また、多くの配線メーカーは、2ジャンパーリファレンス法で実施された試験結果を受け付けないため、システム保証を取得できなくなる可能性があります。

CertiFiber ProおよびCertiFiber Maxの両認証テスターには、リファレンス(基準値)の設定時に、アニメーションを使用して操作手順をステップごとに案内する「Set Reference Wizard(基準値設定ウィザード)」が用意されています。このウィザードでは、TRCをメインユニットとリモートユニットにどのように接続すればよいかが、具体的に示されます。リファレンスの設定が完了すると、ウィザードは入力ポートからTRCを取り外す手順についても順を追って案内します。

#9:光ファイバー試験で誤ったテスト基準コードを使用する

光ファイバー配線システムの認証試験を実施する際は、試験器メーカーが推奨するテスト基準コード(TRC)のみを使用してください。Fluke Networksが提供するような真正のTRCは、リファレンスグレードのケーブルとコネクターで構成されており、マルチモードでは0.1 dB未満、シングルモードでは0.2 dB未満という、極めて低い接続損失を実現しています。

真正のTRC以外を使用すると、誤った不合格判定が生じる可能性があります。その結果、安価な代用品を購入して節約した金額をはるかに上回る損失が発生し、収益性に悪影響を及ぼすおそれがあります。最初から推奨TRCを使用していれば合格していたはずの光ファイバーリンクを、再施工しなければならなくなる状況を想像してみてください。

使用するTRCの種類にかかわらず、試験を開始する前にTRCの性能を確認しておくことがベストプラクティスです。これにより、リンクが不合格となった場合でも、TRCの性能不良が原因ではないことを確認できます。

Fluke Networksでは、288回の試験ごとにTRCの性能を再確認し、その結果を記録することを推奨しています。これにより、TRCの摩耗状態を把握し、交換が必要かどうかを判断するための比較基準を得ることができます。

CertiFiber ProおよびCertiFiber Maxのウィザードは、TRCの性能確認手順をステップごとに案内します。さらに、CertiFiber Maxには、実施した試験回数を追跡する機能があり、試験回数の上限値を任意に設定できます。これにより、TRCの再検証や交換が必要な時期をアラートで知らせます。

また、適切な種類のTRCを使用することも不可欠です。マルチモード光ファイバーについては、業界規格により、現在の光トランシーバーの入射光条件により近い測定条件を実現するエンサークルドフラックス(EF:Encircled Flux)に適合した試験が要求されています。

EFに適合した試験は、測定の不確かさを低減し、実際よりも過度に良好な測定結果となることを防ぎます。また、配線メーカーの保証を取得するためにも要求されています。マルチモード光ファイバーを試験する際には、CertiFiber Pro OLTSのようなEF適合試験器とともに、EF適合TRCを使用する必要があります。

EF適合試験は規格に準拠したベストプラクティスですが、現在でも一般的なマンドレルを使用し、高次モードを除去することで入射光条件を制御し、測定確度を向上させている場合は、使用するTRCに十分注意する必要があります。コストや手間を省こうとして一般的なコードを使用した場合、そのコードには曲げ不感性マルチモード光ファイバー(BIMMF:Bend-Insensitive Multimode Fiber)が使用されている可能性があります。

BIMMFは、より小さな曲げ半径でも曲げによる信号損失が大幅に少なくなるため、BIMMF製のテストコードをマンドレルと組み合わせて使用しても、高次モードを十分に除去することができません。

実際、業界規格では、試験対象のリンクにBIMMFが使用されている場合であっても、すべてのテストコードには非BIMMF(Non-BIMMF)を使用することが規定されています。

Fluke NetworksのEF適合・非BIMMFのTRCを使用したEF試験は、マルチモード光ファイバーをはるかに高い確度で測定できる方法であり、このため業界規格でもEF試験が要求されています。

#10:MPOケーブルの認証試験をデュプレックス試験器に頼る

データセンターにおける100~800ギガビットの高速光ファイバーリンクの多くは、MPO(Multi-Fiber Push-On)コネクターを使用した接続ソリューションを採用しています。MPOリンクがアプリケーションの性能要件を満たしていることを確認するには、フィールド試験が不可欠です。

多芯のMPO光ファイバーリンクをデュプレックス試験器で測定する場合、時間がかかることは容易に想像できるでしょう。実際、12芯MPOコネクターで終端されたリンクをデュプレックス試験器で測定する場合、3ジャンパー法による約15ステップの作業が必要になります。さらに、12芯のケーブルを個別の単芯光ファイバーチャネルに分岐するため、MPO-LCファンアウトコード、または低損失MPO-LCカセットを使用する必要があります。

デュプレックス試験器を使用してMPOリンクを測定するには、まずSC-LCおよびLC-LCのテスト基準コード(TRC)の性能を確認し、リファレンス(基準値)を設定する必要があります。さらに、MPOの最初の1ペアに接続する前に、3本目のLCテスト基準コードについても性能確認と基準値設定を行い、その後取り外す必要があります。しかも、両端には、さらに試験しなければならない5ペアが残っています。このように複雑で時間のかかる作業は、試験結果にばらつきが生じるリスクを本質的に伴うだけでなく、作業中にすべてのコネクターを清浄な状態に保つことも難しくします。

CertiFiber Maxによる多芯光ファイバーの試験結果表示例

MPOコネクターを本体に搭載した試験器を使用すれば、ファンアウトコードやカセットが不要となり、MPO試験の複雑さや作業時間、測定結果のばらつきを低減できます。

Fluke NetworksのCertiFiber™ Max 光損失試験セット(OLTS)は、12芯、16芯、24芯のMPOコネクターに加え、16芯および24芯の多芯MMCコネクター(VSFF:Very Small Form Factor)にも、この機能で対応しています。Fluke NetworksのMultiFiber™ Pro 光パワーメーターは、12芯MPOコネクターに対して同様の機能を提供します。

これらの試験器では、すべてのファイバーを同時にスキャンし、試験結果を見やすい棒グラフで表示できます。CertiFiber MaxとMultiFiber Proは、MPO内の各ファイバーを個別に識別できるため、芯線ごとのより正確な測定データとレポートを提供し、MPOコネクターの検証やトラブルシューティングの効率向上に役立ちます。

さらに、両試験器は、送信側から受信側まで正しい接続経路が確保されていることを確認する極性試験(Polarity Test)にも対応しています。CertiFiber MaxとMultiFiber Proでは、リンクの極性構成を事前に把握していなくても、個々のパッチコード、パーマネントリンク、およびチャネルについて、極性が正しいかどうかを試験できます。

次にMPO試験を行う際、デュプレックス試験器で十分だと考えたら、CertiFiber MaxやMultiFiber ProのようにMPOインターフェースを本体に搭載した試験器を思い出してください。これらの試験器を使用すれば、複雑な測定手順を解消し、試験を従来より90%高速化できます。

Cabling Cert Tech 技術解説

ここからは、Fluke Networksの記事で取り上げられている10のミスについて、認証試験の実務と品質管理の観点から、Cabling Cert Techが補足します。 原文の内容を繰り返すのではなく、実際の試験計画や現場運用で確認しておきたいポイントとして整理します。

#1 試験パラメーターについて事前に合意していない

■ 試験条件は、施工後ではなく試験計画の段階で確定する

本文で示されているように、認証試験では適用する規格やテストリミット、追加試験などによって評価内容が変わります。

Cabling Cert Techとして特に重要と考えるのは、これらを施工が完了してから決めるのではなく、設計・施工・試験の前段階で関係者間において明確にしておくことです。

必要な試験条件や判定基準をあらかじめ文書化しておけば、施工者・発注者・設計者の認識違いを減らし、試験完了後の追加試験や再試験を防ぐことにもつながります。

#2 試験結果がマージナルとなった場合の取り扱いについて合意していない

■ PASS*の扱いは、試験後ではなく仕様段階で決めておく

PASS*は規格上は合格でも、発注者やプロジェクトによっては、より大きな性能余裕を求める場合があります。

そのため、Cabling Cert Techとしては、PASS*を受け入れるのか、あるいは一定以上のマージンを要求するのかを、試験後ではなく仕様書や試験条件の段階で明確にしておくことが重要だと考えます。

測定完了後に独自の基準を追加すると、施工者と発注者の認識違い、再試験、手直しなどにつながる可能性があります。規格上の合否判定と、プロジェクトとして求める品質基準を区別して事前に整理しておくことが、トラブル防止につながります。

#3 エイリアンクロストーク試験を行き当たりばったりで実施する

■ エイリアンクロストーク試験は、対象リンクの選定まで事前に計画する

エイリアンクロストーク試験では、単に「何本測定するか」だけでなく、どのリンクを被妨害リンクとして選び、どの周囲リンクを妨害リンクとして評価するかによって試験の意味が変わります。

そのため、測定現場で都度対象を決めるのではなく、規格、プロジェクト仕様、メーカー保証条件を確認したうえで、試験の要否、サンプル数、対象リンクの選定方法を事前に決めておくことが重要です。

エイリアンクロストーク試験では、測定値そのものだけでなく、どのリンクを、どの条件で選定して評価したのかを説明できる状態にしておくことが、試験結果の信頼性を支えます。

#4 パーマネントリンクではなくチャネルを試験してしまう

■ 施工時の認証では「現在の構成」ではなく「固定配線そのもの」を評価する

チャネル試験は、実際に使用するエンドツーエンドの配線状態を確認するうえで有効です。一方、施工完了時の認証では、将来交換される可能性があるパッチコードを含めた現在の構成ではなく、建物や設備に固定された配線部分そのものが規格要求を満たしているかを確認することが重要です。

パーマネントリンク試験によって、パッチコードなどの可変要素を切り離して評価できるため、施工品質そのものを確認し、将来の接続変更後も配線システムの基盤として利用できる状態かを判断しやすくなります。

#5 MPTLを誤ったアダプターで試験する

■ アダプターの選択は「測定範囲」を決める

MPTL試験では、アダプターは単なる接続部品ではなく、どの接続点までを認証試験の対象に含めるかを決める要素です。

特にMPTLでは、遠端側の現場成端プラグも評価対象となるため、この接続部を正しく測定範囲に含められるアダプター構成を選ぶ必要があります。

Cabling Cert Techとして重要と考えるのは、アダプター構成とテストリミットの両方を、実際に認証したい配線構成に一致させることです。接続できることではなく、意図した範囲を正しく評価できているかという視点で試験構成を確認することが重要です。

#6 テスト結果のプロットデータの保存を有効にし忘れる

■ プロットデータは「測定履歴」として残す

認証試験では、PASS/FAILだけでなく、試験時点の配線性能を後から確認できる情報を残しておくことが重要です。

プロットデータを保存しておけば、将来トラブルが発生した際に、施工時の状態と比較するための基礎資料として利用できます。

Cabling Cert Techとしては、プロットデータを単なるレポート用の付加情報ではなく、施工品質の記録、将来の性能比較、障害解析に利用できる「測定履歴」として保存・管理することが重要だと考えます。

#7 光ファイバーの適切な端面検査と清掃を省略する

■ 端面検査と清掃は「測定条件の一部」として管理する

光ファイバー試験では、測定器や基準設定が適切であっても、接続端面の状態が悪ければ、測定結果の信頼性を確保できません。

そのため、端面検査と清掃は、試験前の単なる保守作業ではなく、正しい測定結果を得るための測定条件の一部として扱うことが重要です。

Cabling Cert Techとしては、検査 → 必要に応じた清掃 → 再検査を一連の標準手順として定着させ、試験対象だけでなく測定経路に含まれる接続端面全体を管理することが重要だと考えます。

#8 Tier 1光ファイバー試験でワンジャンパーリファレンスを使用しない

■ リファレンス設定は「測定結果に何を含めるか」を決める

光損失測定のリファレンス設定は、単なる0 dBの基準合わせではありません。どの接続損失を基準側に含め、どこからを試験対象として評価するかを決める操作です。

そのため、リファレンス方法が変われば、同じリンクを測定していても、測定結果に含まれる損失の範囲が変わる可能性があります。

Cabling Cert Techとして重要と考えるのは、測定器の接続構成、TRC、リファレンス方法、そして実際に評価したい配線範囲を一致させることです。リファレンス設定は、測定前の準備作業ではなく、測定結果の意味そのものを決める工程として扱う必要があります。

#9 光ファイバー試験で誤ったテスト基準コードを使用する

■ TRCは「消耗品」ではなく「測定系の一部」として管理する

TRCは単なる接続用コードではなく、基準設定や入射光条件とともに、測定結果の信頼性を左右する測定系の一部です。

そのため、試験前には適切な種類のTRCを使用していることに加え、端面状態や性能が適切に維持されているかを確認する必要があります。

Cabling Cert Techとしては、TRCを都度使用するだけの付属品として扱うのではなく、状態確認・性能記録・交換判断まで含めて継続的に管理することが重要だと考えます。

特にマルチモード光ファイバーでは、TRCそのものだけでなく、EF適合などの入射光条件を含めて測定系全体を管理することが、再現性の高い測定につながります。

#10 MPOケーブルの認証試験をデュプレックス試験器に頼る

■ MPO試験では「測定できるか」より「再現性よく測定できるか」を重視する

MPOケーブルでは、複数芯を個別に測定することも可能ですが、接続変更の回数が増えるほど、接続状態や清掃状態、作業者による操作差が測定条件に影響する余地も大きくなります。

Cabling Cert Techとして重要と考えるのは、単に全芯を測定できることではなく、複数芯をできるだけ同じ条件で測定し、その結果を一貫した方法で記録できることです。

高密度化するほど、測定手順を単純化し、接続変更などの人的操作を減らすことが、測定の再現性と試験結果の信頼性を高めるうえで重要になります。

10の失敗例を俯瞰して見える4つの共通ポイント

Fluke Networksが紹介する10の失敗例を通して見ると、個々の注意点の背景に、認証試験全体を適切に進めるための共通した考え方が見えてきます。 今後の試験計画や現場作業に活かすポイントとして、次の4点に整理できます。

1.試験前に条件を明確にする

適用規格、テストリミット、判定条件、追加試験の要否などを、測定開始前に明確にしておくことが、後工程での認識違いや再試験を防ぎます。

2.認証対象に合った試験構成を選ぶ

パーマネントリンク、チャネル、MPTLなど、どこからどこまでを認証するのかを明確にし、それに対応したアダプターとテストリミットを使用することが重要です。

3.結果だけでなく、後から検証できる情報を残す

Pass/Failだけではなく、プロットデータや端面検査結果などを残すことで、将来の比較やトラブルシューティングにも活用できる測定記録になります。

4.光ファイバー試験では測定系全体を管理する

リファレンス設定、TRC、端面状態、MPOでの接続方法など、被測定リンクだけではなく測定系そのものを管理することが、再現性の高い測定につながります。

今回の10の失敗例は、個別の「よくあるミス」として確認するだけでなく、認証試験全体の進め方を見直す材料として活用できます。

試験条件の決め方、測定範囲の考え方、記録の残し方、測定系の管理などを、自社の試験手順や品質管理の観点から改めて確認することで、認証試験の信頼性向上につなげることができます。

実際の現場では、測定器の操作方法だけでなく、試験前の合意、適切な試験構成、結果の記録、測定系の管理まで含めて試験手順を整えることが重要です。

関連情報|Versivソフトウェア・リリースノート

DSX CableAnalyzerやCertiFiber Maxを含むVersivプラットフォームでは、ソフトウェアの更新により、機能追加や改善、新しいテストリミットへの対応などが行われています。

Cabling Cert Techでは、Fluke Networksが公開しているVersivソフトウェア・リリースノートを日本語で紹介しています。

最新のソフトウェア更新内容や追加機能を確認する際にご活用ください。