本ブログは、フルーク・ネットワークスのブログ「Best cable tracing and tracking methods」(2022年8月16日 / 一般、基礎学習、設置と試験、ベストプラクティス)を、Cabling Cert Techにて日本語に 翻訳したものです。翻訳内容に疑問点がある場合は、オリジナルの英語版をご参照ください。

ケーブリング・サート・テック
2025
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設置業者はケーブル配線の設計やラベリングに多くの時間と注意を注いでいますが、実際に現場で作業していると、「このケーブル、どこにつながってるんだ?」という場面に誰しも遭遇します。

設置当初にラベルが正しく貼られていなかった一時的な追加のつもりで設置されたケーブルが、いつの間にか何年もそのまま使われている。そんな状況は珍しくありません。

本記事では、ケーブルの行き先を特定する作業時間を短縮するために役立つトーンジェネレーター、ケーブル識別器、ネットワークケーブルテスター、プローブなどのツールについてご紹介します。

ケーブルトーナー(Cable Toners)

ツイストペアケーブルは、バランス信号を利用して動作します。ペア内の2本の導体には、等しい大きさで逆位相の信号が流れるため、互いの信号が打ち消し合い、他のペアへの干渉が少なくなります。

しかし、バランスが崩れた(不均衡な)信号がペアに流れると、そのケーブルは放送アンテナのような状態になり、その信号が周囲に放射されます。

この信号は、プローブ(受信機)で検知・増幅し、スピーカーなどを通して確認することができ、信号の流れているケーブルを追跡する手段として利用されます。

この方法は、何十年にもわたってケーブルの行き先を特定するために使われてきた歴史ある技術です。中には、石膏ボードや壁材を通しても反応するほど高出力なモデルも存在します。

トーナー使用時の注意点とスマート機能

ケーブルトーナーにはひとつ問題があります。それは、他の不平衡信号(特にAC電源ライン上の信号)も拾ってしまう可能性があるということです。

この影響により、電源周波数(地域によって50Hzまたは60Hz)に起因する「ブーン」というノイズが混じり、目的のトーン信号が聞き取りづらくなることがあります。こうした問題に対応するために、一部の  トーナーには不要信号を除去するフィルタ機能が内蔵されています。

さらに、Fluke Networks Pro3000™ アナログプローブに搭載された「SmartTone™ テクノロジー」には、もうひとつ便利な機能があります。トーン信号を流しているペアをショート(短絡)させると、発信される「音」が変化し、それによって正しいケーブルを特定できたことを確認できるのです。

デジタルトーナーによるノイズ対策と正確なケーブル識別

デジタル信号を発するトーナーは、ノイズ(ブーン音)問題をまったく別の方法で解決します。

これらのデジタルトーナーは、発信元からのデジタル信号以外は無視する設計になっているため、 周囲の雑音を完全に排除できます。 

また、テスト中のケーブルから隣接ケーブルに信号が“漏れ”てしまい、どのケーブルやパッチパネルポートが本当に接続されているのか分かりづらくなるという、よくある課題にも対応しています。

Fluke Networksの IntelliTone™ Pro 200 は、さらに一歩進んだ機能を備えています。
プローブ側にジャックがあり、ケーブルを直接差し込んで確認できるので、「間違いなくこのケーブルだ」と確実に識別できます。

さらに、データ通信用ケーブル内の8本の導線それぞれについて、正しく接続されているかもチェックできる機能を備えています。

アクティブ機器に接続されたケーブルにも対応可能

ケーブルの特定作業は、たとえ熟練した技術者にとっても、手間がかかり、時間を要し、ミスが発生しやすい工程です。
ケーブルトーナーは、ネットワーク機器などのアクティブなデバイスに接続された状態のケーブルでも 使用できるため、ネットワークサポートチームにとって非常に便利なツールとなっています。

ノイズフィルター内蔵|Pro3000Fで正確なトーン検出

ケーブル識別器(Cable Identifiers)

ケーブル識別器は、成端されたケーブルに取り付けて、もう一方の端から識別できる便利なツールです。これらの識別器は通常、1〜8のように番号が個別に振られており、パッチパネル側に接続して 使用します。技術者はその後、各部屋のアウトレット側へ移動し、リモートIDを差し込むことで、どのアウトレットがパネルのどのポートと接続されているかを確認できます(逆の手順でも可能です)。

Fluke Networksの IntelliTone™ Pro を使用すれば、アクティブなネットワーク上でもケーブルのトレースや位置特定を、より簡単かつ正確に行うことができます。

リモートIDを使用することで、アウトレットがどのポートと接続されているかを確認できるため、作業時間を大幅に短縮できます。

ポートライトの点滅を使ったケーブル位置の特定

アクティブなネットワーク上でケーブルの位置を特定するもう一つの方法として、スイッチのリンク   ランプ(ポートライト)を活用する手段があります。

通常、これらのランプは、データの送受信を行っているアクティブな機器に接続されると点灯・点滅します。テスターをケーブルの遠端に接続すると、一定の間隔(例えば1秒間に2回など)でリンクパルスをON/OFFさせることで、ポートライトの点滅を制御することが可能です。これにより、どのポートに該当 ケーブルが接続されているかを視覚的に識別できます。

ただし、スイッチのポート数が多い場合は、数十個のLEDの中から「点滅しているポート」と「通常の  通信でちらついているポート」を見分けるには少し慣れが必要です。

ポート情報によるケーブルの特定

アクティブなケーブルの接続先を特定する最も簡単な方法のひとつは、スイッチ自身に教えてもらうことです。多くのエンタープライズ向けスイッチは、デバイスの接続を検知すると、LLDP(Link Layer Discovery Protocol)パケットを送信します。
このパケットには、設定に応じて以下の情報を含めることができます:

  • スイッチの名称
  • ポート番号(場合によってはシャーシ番号やスロット番号も)
  • そのポートが属するVLAN番号

対応するテスター機器は、これらの情報を簡潔で見やすい形式で画面に表示することができます。

すべての機能を1台で実現するケーブルテスター

Fluke Networksは、基本的な Pro3000™ トーン&プローブシリーズから、MicroMapper™ ワイヤー マップテスター、IntelliTone™ Pro 200 トーナー、トレーサー、プローブ、MicroScanner™ ケーブル検証 ツールまで、これらの機能をサポートする多様なテスターを提供しています。
しかし、それらすべての機能を1台でサポートするテスターが存在します。それが Fluke Networks LinkIQ™ Cable+Network Tester です。LinkIQは、アナログおよびデジタルトーニング、最大8個の ケーブル識別子、リンクライトの点滅制御、LLDPパケットのデコード機能を備えています。
この多用途なテスターは、さらに 最大10Gb/sの配線トラブルシュートと性能判定、ケーブル性能 レポートの生成、PoEおよびネットワーク接続のテストにも対応しています。Virtual Demoでぜひお試しください。

Fluke Networksの LinkIQ™ は、ケーブルのトレース、追跡、トラブルシュート、性能判定を効率的かつ正確に行うために必要な機能を備えています。

📘 継続学習(Keep learning

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