
※本記事は、NetAlly社のサポートの下、同社のホワイトペーパー『Remote Site Troubleshooting White Paper』をもとに、Cabling Cert Techが独自に執筆・再構成したものです。This article was authored by Cabling Cert Tech, based on NetAlly’s “Remote Site Troubleshooting White Paper,” under the company’s kind support.
🔹 目次
💡本記事の最後で、「3.2ヶ月でROI回収」の詳細シナリオを含むPDF版ホワイトペーパーを無料でダウンロードできます。
1. はじめに
こんにちは!ネットワークエンジニアの皆さん、こんな経験はありませんか?
「遠隔地のオフィスから『ネットが遅い』と連絡があったが、手元には情報が何もない…」
「現地の担当者はITに詳しくなく、電話での指示だけでは埒が明かない…」
「結局、新幹線や飛行機で現地に出向くことになり、移動だけで半日が終わってしまった…」
企業の拠点が分散化し、ネットワーク環境が複雑化する今、リモートサイトのトラブル対応は、多くのIT部門にとって避けられない課題です。
出張対応は時間もコストもかかり、対応が遅れれば業務停止や顧客満足度低下にもつながります。
では、なぜ「遠隔地のネットワーク問題」はこんなにも時間がかかるのでしょうか?
2. リモート対応が難しい理由は“3つの現場課題”
NetAlly社のホワイトペーパーによると、多くの組織で問題解決に半日以上を要し、エンジニアの平均勤務時間の25%がトラブル対応に費やされているという調査結果があります。
リモート拠点で問題解決が進まない理由は、主に次の3点に集約されます。
- 専門知識の不足:現地スタッフはネットワーク専門家とは限らず、的確な状況報告が難しい。
- リソースの欠如:適切なテスト機材がなく、問題の切り分けが進まない。
- 標準化の欠如:テスト手順やレポート形式がバラバラで、問題のトリアージが長期化する。
たとえば、支店や倉庫の現場で「Wi-Fiがつながらない」と連絡を受けた際、その拠点にネットワーク解析ツールも専門知識もなければ、本社のエンジニアは“情報のない状態で推測”するしかありません。
この「情報の断絶」こそが、MTTR(平均修復時間)を長引かせる最大の原因です。
3. 解決の鍵は「テストの標準化」と「クラウド連携」
リモートトラブルを迅速に解決するためには、「誰でも同じ品質でテストができる」、そして「離れた場所から同じ情報を見られる」ことが不可欠です。
その両方を実現するのが、NetAllyの提唱するAutoTest × Link-Live × リモート操作 という3要素の統合アプローチです。
- AutoTest:ボタン一つで複数のネットワークチェックを自動化。
- Link-Live Cloud Service:すべての測定データをクラウドにアップロードし、チーム間で共有。
- リモート操作:上級エンジニアが遠隔でテスターを操作し、現地作業を支援。
これにより、スキルレベルに依存しない標準化されたトラブルシューティングフローが構築されます。
一貫したテスト結果と共通の可視化データをもとに、エンジニア同士の“認識のズレ”を排除できるのです。
4. 解決戦略:MTTRを劇的に短縮する3つのアプローチ
リモート拠点で発生するネットワークトラブルの多くは、「誰が・どこで・どの層の問題か」が即座に判断できないことに起因します。
NetAllyのハンドヘルドテスターシリーズは、AutoTestによる標準化、Link-Liveによるデータ共有、そしてリモート操作による連携という3つの戦略で、平均修復時間(MTTR)を劇的に短縮します。
4.1 有線LANの一次切り分け — LinkRunner® AT シリーズ
たとえば、支店のPCがネットワークに接続できない場合、現地担当者は、PCが接続されていたLANケーブルを LinkRunner® AT 3000 に接続し、「AutoTest」を実行するだけで、PoE給電、リンク速度、スイッチ/VLAN情報、DHCP/DNS応答などを 10秒以内 に自動診断できます。
結果は自動的に Link-Live にアップロードされ、本社エンジニアが即座に結果を確認・検証できます。
LinkRunner ATシリーズは、現場担当者でも迷わず直感的に操作できる設計で、ネットワーク障害対応の初動を標準化し、効率的なトラブルシューティングを実現します。
✳️ 参考:NetAlly公式製品定義(2024–2025)
- LinkRunner® AT 3000:中規模ネットワーク向けの高速リンクテスター
- LinkRunner® AT 4000:拡張PoE(90W)・光ファイバー対応・IPv6検証対応
両機種とも Link-Live への自動アップロード機能 を搭載し、テスト結果をクラウドで共有できます。


4.2 Wi-Fiトラブルの可視化 — AirCheck™ G3 Pro
「Wi-Fiが不安定」という申告には、AirCheck™ G3 Pro が効果を発揮します。
このツールは、電波強度・チャネル干渉・接続クライアント などを瞬時に可視化できます。
さらに、AirMapper™ Site Survey 機能を使用することで、オフィス内のヒートマップを作成し、電波の弱いエリアや過負荷エリアを特定できます。

測定データは Link-Live に即座に送信でき、本社エンジニアがブラウザ上でヒートマップを共有し、分析を行うことができます。
この仕組みにより、Wi-Fi環境の最適化をリモートで支援することが可能になります。
AirCheck™ G3 Pro は、EtherScope® nXG や CyberScope® Air ともワークフローの統合が可能で、有線・無線の一元的なトラブルシューティングを実現します。
💡 NetAlly Wi-Fi測定・セキュリティ解析機能の補足
AirMapper™ Site Survey は、NetAllyのWi-Fiテスターに搭載された測定アプリケーションで、測定地点ごとの電波強度・ノイズ・接続品質を記録し、ヒートマップとして可視化できます。
AirCheck™ G3 Pro のほか、EtherScope® nXG および CyberScope® Air にも標準搭載されています。
CyberScope® Air は、AirCheckシリーズの上位モデルであり、AirMapper機能に加えて無線セキュリティスキャンやネットワーク脅威検出などの拡張解析機能を備えています。
補足:CyberScope® のモデル構成について
NetAllyの CyberScope® シリーズ には、構成の異なる3つのモデルがあります。
- CE(Combined Ethernet):有線LAN・無線LAN(Wi-Fi)・Bluetooth/BLE をすべて搭載したフル機能モデル
- AIR:無線LANとBLEの機能のみを備えたワイヤレス専用モデル(有線ポートなし)
- XRF:有線LANのみを搭載した有線解析専用モデル(Wi-Fi機能なし)
これらの構成により、利用できる機能やテスト範囲が一部異なります。製品名 「CyberScope Air」 は、このうち AIRモデル を指します。
なお、AirCheck™ G3 Pro/EtherScope® nXG/LinkRunner® ATシリーズ にはこの区分はなく、各モデルの中で統一仕様として提供されています。



4.3 高度な解析とリモート連携 — EtherScope® nXG
より複雑なネットワーク問題や、拠点全体の通信トラフィックを詳細に分析する必要がある場合には、EtherScope® nXG Portable Network Expert が最も適しています。
このツールは、10G/NBASE-T および 最新のWi-Fi 6/6E環境 に対応しており、Link-Liveを経由してリモート制御を行うことができます。これにより、エンジニアは現地に出向くことなく、パケットキャプチャやVLANトラフィック解析などの高度な診断を遠隔で実行できます。
EtherScope® nXGは、NetAlly製品群の中核に位置するプラットフォームです。
AutoTest、AirMapper、Link-Liveの各機能を統合しており、現場担当者とエンジニアの間でシームレスな情報共有を実現します。この一貫したワークフローにより、トラブルの早期発見から根本原因の特定までを効率的に進めることができます。

🗂️ NetAlly 主要ツール一覧(2025年版)
※ 各製品の主な用途と特徴を一目で把握できる一覧です。
| 分類 | 製品名 | 主な役割 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 有線LANテスト | LinkRunner® AT 3000/4000 | 一次切り分け(AutoTest) | PoE/VLAN/DHCP診断・10秒テスト・Link-Live連携 |
| 無線LAN解析 | AirCheck™ G3 Pro | Wi-Fiパフォーマンス解析 | 6GHz対応・AirMapperヒートマップ・Link-Live共有 |
| 統合解析/上位機 | EtherScope® nXG | 有線+無線統合解析/リモート連携 | 10G対応・パケットキャプチャ・Webリモート操作 |
| セキュリティ運用 | CyberScope®(CE/AIR/XRF) | 有線/無線/BLE解析+セキュリティ診断 | モデル構成により有線・無線機能の範囲が異なる |
5. 驚きのコスト削減効果:わずか3.2ヶ月で投資を回収
こうした統合的なトラブルシューティング環境の導入効果は、定量的にも明確です。
NetAllyのホワイトペーパーでは、以下のようなROI試算が示されています。
| 項目 | 効果/数値 |
|---|---|
| AutoTest 時間短縮 | チケットあたり59分短縮/技術者ひと月19.7時間 |
| PCAP取得の簡素化 | 設定20分→5分/月2時間(2名想定) |
| 月次削減額(平均$120/時) | $2,604 |
| 投資回収期間 | 約3.2ヶ月 |
この数値には、MTTR短縮による業務停止回避や、エンジニア移動コストの削減などの間接効果は含まれていません。実際の導入企業では、4ヶ月未満で費用回収を実現した事例もあります。
6. まとめ:移動時間ゼロで「一次切り分け」から「高度解析」まで
リモート拠点のトラブルシューティングは、もはや“現地対応が前提”の時代ではありません。
標準化されたテスト手順とクラウド連携により、「誰でも同じ品質で検証できる環境」を構築することが可能です。
現地担当者は、テスターで自動化されたテストを実行し、結果を共有。
本社エンジニアは、Link-Liveに集約されたデータをもとに的確な判断を下す。
この分業体制により、チーム全体の生産性が向上し、本来注力すべき戦略的業務へのリソースを確保できるようになります。
NetAllyのソリューションが目指すのは、まさにその“スマートで持続可能な運用体制”です。
さらに詳しく知りたい方へ
📄 ホワイトペーパーをダウンロード
(リモートサイトのトラブルシューティング 英語版)
💡 NetAlly製品の詳しい情報は本Cabling Cert TechのNetAllyパートナーページでご覧ください。
💬 導入相談・デモ依頼はこちら
ネットアレイ・ジャパン
〒101-0021 東京都千代田区外神田1-3-12 計測器ランドビル内
担当責任者:杵鞭
TEL:050-3749-7974
netAlly.com


